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哀れですね、あなた。


40歳を過ぎたら、トンカツを食べるとお腹が痛くなってしまう。キャベツを山盛り食べたのにおかしいな。背中をまるめて、うずくまっていると、

「アワレ」

と娘に言われた(笑)。娘は、トンカツ2枚をペロッと食べる。キャベツは少なめ。お腹も平気。

娘が言ったアワレは、哀れだ。「哀れよのう〜」と時代劇のセリフに出てくる「哀れ」。

いいかげん、胃腸内科に行かなきゃいけないことはわかっているけど、休日に病院へは行けない。行く元気がない。

東京の23区の端に住まいがある我が家。高級住宅地ではなく、庶民的な街並みだ。移動は、自転車と徒歩がメイン。郵便局を出たところで、ママ友に話しかけられた。

「きょうは、仕事休み? ◯◯ちゃん、元気?」

娘は元気か、のあとに「スキー教室のことなんだけど……」とママ友は自然に話し始めた。

一瞬息が止まって、何をどう答えたらいいかわからなくなる。元気と言えばいいのか、元気じゃないと言えばいいのか。ママ友はスキー教室の班の話をしたかったようだ。

わたしは、何をどう答えたら良いのだろう。

「娘は、スキー教室行かないんだ」
「なんで?」
「行きたくないんだって」
「それって、許されるの?」
「本人が行けないと言っているから」
「どうして?」
「行きたくないんだって」
「え……!?」
「学校の先生は知ってるの?」
「先生には話したよ」

そう答えたものの、娘は8ヶ月前から学校へ行けなくなっていた。登校しなくなり、自宅にいるようになった。担任の先生に相談したがムリだった。精神科と不登校専門の機関にも行ったけど、学校には未だ行けないでいる。

そのうち、諦めてしまっていた。「行きたくない」と言ってる娘をムリに学校へ行かせることは出来ない。そして、わたしは何をどう対処したら良いのかがわからないままだ。

狭い社会。職場の行き帰りや、スーパーや銀行へ行った帰り道。人に会ってしまう。そのたびに、娘のことを質問される。娘が学校へ行っていないことは、周囲に知られているからだ。

「どうして行けなくなったの?」

質問されても答えることはできない。なぜ行けなくなったのか明確な理由はわからない。

そのうち、質問されるのが怖くなった。そして、誰かに会うのもこわくなった。わたし自身でさえ、わからないものに、どう答えたらいいのだろう。

「学校に行っていなくても、将来のために勉強だけはさせておいたほうがいいよ」と、アドバイスもされるけど、自宅でどう勉強を進めたらいいかがわからない。

知識として正しいことと知っていても、それが実行できるかどうかは別だ。また、それを別の人間に実行させることもむずかしい。

あるとき、
つい最近のこと。

質問をしてくる人に、

「今はまだ何もかもが手探りで、話せることはないけれど、いずれ話せるときがくると思うからそのときは連絡するね」と言えた。自分の気持ちを伝えることができた。

不登校が始まってから、こうして文章にできるまで、8ヶ月かかった。そして、未だ何も解決できていない。

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