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反ワクチンインフルエンサーだった私 ヘザー・シンプソン

 



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How I Went From Dressing up as Measles to Hoping for My COVID Vaccines


私を知っている人はほとんどいないでしょうが、2019年と2020年のはじめまで、私は悪性の反ワクチンインフルエンサーでした。「でした」? これから説明させて下さい。
子どものころは、兄弟も私もちゃんと全部の予防接種を受けていました。注射は痛かったけど、嫌がることもありませんでした。

2011年にはアンティーク・ジュエリーで指を刺してしまった後、かかりつけの先生の診療所に駆け込んで破傷風の注射を受けました。2015年には針が怖いと思った以外は何の心配もなく、学校に行くためにインフルエンザの予防接種を受けました。(針を刺されるのがあまりにも怖くて、失神しそうになりました。)

ワクチンに関して何も思っていなかったと言う意味では、ワクチンを受け入れていました。ワクチンを受ける家庭で育っていましたので、疑問も持っていませんでした。ワクチンは安全で効果があり、私が予防接種を受けていることは、誰もが知っていることでした。

そして、ある日、恐怖が這い寄ってきたのです。

それは全く無害に見えました。反ワクチンドキュメンタリーシリーズを熱心に勧める広告の形をとってやってきました。夫と私は子どもを持ちたいと思っていて、私は予防接種は重要なテーマだと知っていました。そこで私たちは誘惑に負けてしまって、このシリーズに200ドルを払ってしまったのです。この広告はすごく説得力がありました。もし本当に子どもたちのことを気に掛けているなら、このドキュメンタリーを見るのがどれほど重要なことかと強調していました。言うまでもないことですが、自責の念を刺激されてしまったのです。

ドキュメンタリーシリーズでは、インタビューを受けている人たちが、およそ考えられる限りのすべての健康状態へのワクチンの関与を信じていると断言していました。自閉症、乳幼児突然死症候群、アレルギー、 ADHD、不安症、強迫性障害、etc. まさに文字通りすべてにです。

そして、母親になる準備を始めたばかりの若い女性であった私はまだ何の知識もありませんでした。この人たちが与える恐怖をすべて、朝から晩まで受け入れてしまったのです。この時から、ワクチンは自閉症、乳幼児突然死症候群、自己免疫疾患、そして死の原因であると固く信じてしまいました。そしてほとんどの母親と同じように、これから産まれてくる子どもを危険に晒してはいけないと考えるようになりました。

私は反ワクチンの言説を勉強し続けました。その気になりさえすれば、自分の主張を支持してくれるものを何でも望みのままに見つけることが出来るものなのです。そして、まあ、驚くことに、震え上がってしまうような話がいくらでも出てきました。絶対に子どもをワクチンに近づけないと決めました。絶対にです。

私は、もし子どもの身体にワクチンが注入されてしまったら、その夜、乳幼児突然死症候群で娘を失ってしまうだろうと確信していました。絶対そうなると固く信じてしました。すべての反ワクチン論者がそうだとは言えませんが、あれは揺るぎない現実の恐怖でした。娘が一回でも予防接種を受けたらと考えては、恐怖に襲われていました。私の頭の中ではワクチンという言葉は死と同意語になっていました。

ですので、2017年に子どもが生まれたとき、夫と私はビタミンKの注射はしたのですが(これは反ワクチンの人たちから、娘が健康上の問題を持つようになると叱られてしまいました)娘には予防接種をしないという選択をしました。
娘が1歳半になった、2019年の冬、自分のワクチン躊躇いについてフェイスブックに投稿を始めました。正直に言えば私は「躊躇って」いたわけではなかったので、これはウソでした。ワクチン嫌いだという自覚はありました。でも躊躇いを装っている方が、いくらかまともに見えると考えたのです。自分の考えとワクチンへの躊躇いを投稿したとき、この投稿記事は数百回シェアされました。

衝撃でした。友達申請がなだれ込んできました。何が起こっているかわかりませんでした。ワクチンについての見解を投稿し続け、人々が私の投稿をシェアし続け、「観客」は増え続けました。それはすさまじい勢いで、予想もしていなかったことでした。SNSに反ワクチンママとパパのこんな世界があるなんて考えてもいなかったのです。

彼らはとても親切で優しくて、これからもずっと大切な友達になるだろうという人たちと知り合いました。友達に関してだけでも、この体験は価値があると思えました。

そして2019年の10月、私はハロウィーンの仮装として一番怖くない物になろうと考えて、麻疹の仮装をしました。今この機会に皆さんに告白しようと思いますが、あのときの私は最低でした。本当に、最低、そのもの

で、そして、炎上しました。本当に炎上。

フェイスブックとレディット、両方で炎上して、全国ニュースにも取り上げられました。殺してやるという脅しが届き、死ね、自殺しなさいと言うメッセージもきました。ひどかったです。ひどく心がかき乱される体験をしました。

そして数ヶ月後、2020年の2月がやってきました。このころから、物の見方が変わってきました。子宮内膜症の治療で西洋医学のお世話になるようになったのです。手術を受け終わって、違った角度からワクチンについて学ぶようになってきました。反ワクチン的な見方が和らいできました。でも考え方が変わってきたと投稿するようになったら、大勢の反ワクチンの人たちが私に怒りをぶつけてきました。みんなカンカンに怒っていて、すごく残酷でした。

そうなってみて、多くの人たちが、自分たちと全く同じ信念システムを持っていないと追放しようとするなんて、まるでカルトのようだと気がついたのです。誤解して欲しくないですが、こんな風じゃない人たちもたくさんいました。彼らのことは大好きで慕ってもいます。でも自分たちの反ワクチンの信念に関して戦闘的な人たちも大勢いました。「医療の自由を支持している」と主張していますが、彼らと異なった医療判断をしようものなら、酷評してきます。

彼らがあまりにひどいいじめをしてきたので、私はパニック発作を起こして救急室に担ぎ込まれることになりました。あれは人生で最悪の一週間でした。ワクチンに対して見方を和らげたというだけでそう言う目にあったのです。

そしてそれから彼らは私に背を向けて、私との絶縁を宣告してきました。正直なところ、これで本当に助かりました。おかげで、本を読み、考え、勉強し、集団の考えに影響されずに自分自身の考えを育てる時間が出来たからです。

そしてここに今現在の私がいます。今週インフルエンザの予防接種を受け、コロナの予防接種も受ける予定です。娘の予防接種についても、小児科の先生のアドバイスに従うつもりです。

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ここに至った道

これを読んでいる読者の皆さんが本当に知りたいのはこれですよね。反ワクチン運動から追放された後の数ヶ月に起こった魔法について説明させて下さい。

まず第一に反ワクチン主義者にアプローチするときには、だいたい3つのタイプがいることを知って下さい。一つは陰謀論者です。もう一つは怯えている人、最後は元ワクチン主義者です。三つとも全部の人もいますし、どのカテゴリーにも入らない人もいます。どのカテゴリーに当てはまるか見極めるのは、アプローチ法を考える助けになるでしょう。

私のカテゴリー? 私は怯えている人でした。怖くて震え上がっていました。それで子どもが死ぬかも知れないと思ったら、子どもに何も注射して欲しくなかった。自分の命をかけてもうちの赤ちゃんを守りたかった。私が知ってる反ワクチン論者はほとんどがこの理由で説明できる人たちです。ワクチン擁護派と同じように熱烈に子どもを守ろうとしていて、ただ子どもの安全を求めているのです。はっきり言っておきたいのは、これは正義の味方対悪の手先論ではないと言うことです。ワクチンを受け入れているすごく熱心な親と、受けたくないすごく熱心な親というだけなのです。


私は、ワクチンを打った翌日に赤ちゃんが死んでしまった、あるいは数週間後に言葉を失った、数ヶ月後に歩けなくなったと訴える母親の恐ろしい体験談を読み続けました。

そして、鵜呑みにして信じるのをやめて、こうした体験談のどこまでが真実なのかと調べるようになって、自分の反ワクチンの信条にとうとう疑問を持つようになりました。間違いなく事実だと思われるものもありました。でも「ワクチンによる死」の多くに、実は添い寝による事故だったり(アメリカでは親のベッドで添い寝して、窒息死する乳幼児が日本よりもずっと多い)他に原因があったりすることが見えてきました。とてもとても不幸なタイミングだったのです。とても悲しい状況で、ワクチンが否応なく、罪を引き受けることになっていたのです。

ワクチンでアナフィラキシーのような深刻な問題が起こることもあります。ワクチンが100%安全だなんて主張がなされたことは一度もありません。あなたの家族が統計上のい非常に希なケースに該当してひどいアレルギー症状を起こすこともあるでしょう。こんなことがあれば、恐怖を乗り越えるのはとても難しくなります。

私は読んだ体験談一つ一つにすっかり飲み込まれてしまって、感情を抑えて、その状況を冷静に考えてみる力を失ってしまうところまで行ってしまっていました。体験談を読むと、気分が悪くなって、自分の子どもには絶対にワクチンを打たない、と誓ってしまっていました。

(反ワクチンの人たちから)娘の睡眠時無呼吸はビタミンK注射が原因、不整脈は私が子どもの時に受けたワクチンが原因だと言われました。最後に予防接種を受けてから、15年後に自己免疫性疾患になったとしたら、反ワクチンの人たちはやっぱりワクチンを責めるでしょう。人は自分がなぜ病気になったのかを説明する理由を求めるのです。自分の子が病気になった理由も必要です。ワクチンは完璧なスケープゴートです。受けてからどれだけ経っていようと関係ありません。

次に私を反ワクチン運動からか引き離してくれたのは、 VAERS (the Vaccine Adverse Event Reporting System) 「ワクチン有事事象報告システム」でした。2019年だけで、48000件ほどが報告されています。ですが、ご存じですか? 誰もが何でも報告できるのです。実際、裏付け証明は全く必要ありません。このリストを作るにあたって因果関係を確定する必要はないのです。

例えば、VAERSには本当に次のような物もリストアップされています。
銃での怪我、学校でのケンカ、凍傷、ダニに噛まれた、ヘアアイロンで感電、溺れた、脱色剤の配合間違いによる髪のダメージ、日焼け、性感染症の検査で陽性、ドッジボールで怪我、フットボールで怪我、ボーイフレンドと別れて自殺未遂、殺人、バイク事故。こんなのは序の口です。

反ワクチン論者の中には、VAERS を最強の根拠として主張に使う人たちもいます。ですがご覧になったように、これを使えば日焼けがワクチンの副反応だと言うことも出来ます。こんなのは、もちろん違いますよね。


次に私が調べ始めたのは、これもまた多くの反ワクチン論者が主張に使うワクチンの添付文書です。これは、「ほら、尻尾をつかんだ」と論じるときに使われて、私も(インフルエンサーだったときに)この論法を使っていました。そして、自信たっぷりでした。


ですが、問題は、添付文書は法的な文書なので、ワクチン接種後または治験中、あるいは市販後調査中に起こったすべての副反応をリストアップしなくてはならないのです。

でも実際にワクチンの成分は私の恐怖を引き起こした最大の原因でした。

今、文脈の読み取りが出来るようになってみると、ワクチンの成分はそんなに怖くなくなりました。アルミニウムを見ましょう。赤ちゃんが6ヶ月になるまでに、母乳だと10mg、粉ミルクだと30mgのアルミニウムを摂取します。でも現在のワクチンスケジュールだとこの間の予防接種からはは、たったの4mgです。

ホルムアルデヒドについては、頑張って検証しました。誰でも血液中に検出可能な量のホルムアルデヒドがあります。数字で言うなら1リットルあたり2.5マイクログラムです。2ヶ月の子の平均的な体重は11ポンドで体重1キロあたりの血液量は85ミリリットルですから、この子の体内の自然なホルムアルデヒドの量は1ミリグラムぐらいです。これはワクチンに含まれる量の10倍になります。

結局のところ、私の心を最終的に変えたのは、手を差し伸べて、私の恐怖に耳を傾け、話をしてくれた人々でした。何千という悪意のこもったコメントは私の考えを変えませんでした。実際のところ、自分は正しいと、さらに思うようになっただけでした。敵がいると言うことは、つまり、自分がやってることは正しいということなんだ、と。こうしたひどいコメントはワクチン推進派の人たちの狙いとは真逆の効果をもたらしたのです。

でも友人たちが冷静に辛抱強く科学について説明してくれて、私の考えを変えようとするよりも、私のことを心配してくれているのだとわからせてくれたとき、私は自分が間違っているのかも知れないと考え始められたのです。私はフェイスブックの投稿ではなく、本を読み始めました。とても役に立った本は、ポール・オフィット、シャーロット・モーザー共著の Vaccines and Your Child でした。


いろいろなことがだんだん怖くなくなって、辻褄が合ってきました。

けれども、壁を崩す最後の一押しともいえる出来事は、全身の内出血と子宮内膜症での入院でした。医療チームの治療と看護は、もう、素晴らしかったです。西洋医療で本当に助かりました。私は反ワクチン論者の多くが、科学者と医者はお金のために子どもを殺したり障害を起こさせようとしているという反ワクチン説に基づいて発言していることに気がつきました。


私はそんなものを信じていないし、自分が陰謀論者でもないということが見えてきました。何千人という医師と科学者が子どもを殺したり障害を起こさせようとしているなんてあり得ないです。統計的に不可能です。子どもに対して大きな心を持った素晴らしい人がほとんどです。

私が反ワクチン論者だった間に傷つけてしまった人たちがいたら誤りたいです。私はきつくて、いやみで、ひどく人を傷つける発言をしていました。反ワクチン運動はたくさん障害者差別をすると私は知っています。心に留めておいて欲しいのは、あなたの自閉症のお子さんは欠陥を持って生まれてきたのではないということです。誰からも治療しなくてはならない、直さなくてはならないなどと言われるゆえんはありません。私が障害者差別を呼びかけてしまったことは、深く誤りたいです。ワクチン推進派と医療関係者の皆さんに私の軽薄な態度を許して欲しいです。あの頃の私は、ダニングークルーガー効果を日常着として纏っていました。私の麻疹の仮装は病気を軽視する物でした。ほんとうにごめんなさい。
結論として、私の反ワクチンインフルエンサーだった体験から、二つ考えていることを話させて下さい。

ここ数十年、自閉症と健康問題がずっと増えてきているのを見ていて、そして誰もその原因を説明できていなかったので、反ワクチン論者は原因としてワクチンに飛びつきました。なぜかと言えば、つまりは、ワクチンも増えてきたからです。


典型的な反ワクチン論者はどうも相関関係は因果関係とは限らないということが理解できていないようです。バズフィードによれば、相関関係が因果関係と同じならば、アイスクリーム食べると殺人犯になり、オーガニック食品は自閉症の原因になるそうです。あっというまに馬鹿馬鹿しい話を作れるんです。


自閉症と健康問題の増加について(反ワクチン論者が受け入れる)別の理由が提供されるまで、ワクチンは責め続けられることでしょう。
反ワクチン論者に質問を投げかけるときには、聞く耳を持って下さい。相手を独自の心を持ち、自分とは別の人生経験を積んできた一人のちゃんとした生きている人間として、耳を傾けて下さい。なぜ反ワクチンなのか、そもそもの原因を探そうとして下さい。大声で非難して、一気に守りに入ってしまうのは簡単です。でもそうすると、溝が広がって強固になるだけです。優しさと、本当の実際の原因となってる不安に語りかけることこそが変化を可能にするのです。

さて、私は軽い肺炎から回復したので、これからインフルエンザワクチンを受けに行きます。これからはお医者さんと科学者を信じて行くつもりです。どうか新しい旅の幸運を祈って下さい。この先何が起こるのか、わくわくしています。


ヘザー・シンプソンは3歳の恐竜大好きわんぱく娘の母親です。以前は映画やテレビの仕事をしていましたが、現在は自由時間に自分の体験を書き綴っています。

記事はこれで終わりですが、投げ銭設定しています。この先には私の感想やお伝えしたいことを書いています。どうぞよろしくお願いいたします。

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