#289 桜咲く

終点にバスが到着。僕は心の中で深呼吸をして力強くバスから降りた。
大隈講堂の横にバス停があり、合格発表の掲示板は大隈講堂前の広場にあった。母と兄よりも少し早く僕は掲示板前に辿り着いた。他の受験者は誰もおらず、僕と母と兄だけだった。
躊躇なく受験票にある自分の番号を掲示板に貼りだされている合格者の番号の中から探した。
僕の受験番号付近をすぐに見つけ、目で追って行った。
そしてそこに僕の受験番号を見つけた。母と兄に「合格した!」とすぐに伝えた。二人はとても喜んでくれ、お祝いの言葉も掛けてくれた。
昨年は不合格を確認すると、足早に伏し目がちにその場を去り、途中予備校勧誘のパンフレットを渡されそうになり、とても悔しかった。
今年はたくさんいる予備校パンフレット配布者から渡されることはなかった。笑顔で3人で話しながら、一応文学部キャンパスへ行って、第一文学部と第二文学部の結果を見に行くことにした。
文学部キャンパスは大隈講堂から5分も掛からずに行くことが出来る。
正直、第二文学部は試験の手応えからして合格しているだろうと思っていた。
文学部キャンパスに着き、合格発表の掲示版を見たところ、2学部共に不合格だった。
とは言え、大本命の人間科学部の合格を確認してたので、3人で笑いながら駅へ向かおうとした。どこかのテレビ局が合格者を取材しており、僕に声を掛けてきた。嬉しそうに3人で笑っていたので、思わず声を掛けたのだろう。僕は今日の経緯をインタビュアーに説明すると、おめでとうございますとお祝いの言葉を頂いた。
最寄り駅に着くと、兄は大学院へ行く為に僕と母とは逆の電車に乗る為別れた。
僕は母と高田馬場でランチをした。母が僕の好きなもの何でもいいよと言ってくれたので予備校のランチ時、数回利用したお寿司屋さんでお寿司を食べた。
僕は合格したことで、言葉では言い尽くせない嬉しい気持ちで胸がいっぱいになっていた。
達成感、充実感、爽快感など様々な感情が入り混じっていた。
続く…


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