#288 合格発表当日

試験が終わり、後は合格発表を待つばかりとなった。僕はやり切った思いが強かったので不安の様なマイナスの感情はほとんどなかった。ドキドキとかワクワクみたいな感情も特に感じていなかった。終わったことに対する達成感と安堵の思いが正直なところ一番大きかったかもしれない。その為限りなく平常心で日々過ごせていた。
とは言えこれまでの朝刊配達とは違い、気持ちは軽く清々しい気持ちで配達ができた。合格発表の結果を知り、引越しをする3月中旬までは春休み扱いとなり、夕刊の配達もあった。
残り少ない埼玉生活となった。残り少ない時間を楽しむべく夕食時、少年ともいろいろ話をした。
平日は毎日の様に夕方、夕食を食べに行く時起こしていた少年ともお別れを迎える。
いつも中々起きずに、30分近く待ったことも多々あった。
1週間後遂に合格発表の日が来た。僕はこの日、新聞配達は休暇を取っており、前日より実家に来ていた。
実家で寛ぎ、お風呂にも浸かり、ゆっくり朝刊配達を気にすることなく朝まで寝れた。7時位に起床し、朝食を食べてから自宅を支度をして実家を出発した。
母と長男と僕の3人で合格発表を見に早稲田大学へと向かった。最寄り駅から電車に乗って池袋に出て、池袋で山手線に乗り換えて高田馬場へ。
高田馬場駅より、早稲田大学行きのバスに乗った。合格発表時間の9時に合わせて向かったのが早かったのか特に合格発表を見に来ていると思わせる様な人は同乗していない感じだった。
バスに乗った時には特に緊張もしておらず、母や兄と普通に何気ない会話をしていた。道も特に混んでおらず、順調に終点に近づいていた。
次が終点早稲田大学正門前とバスの中でアナウンスされた時、僕は急に緊張した。バスが着いて降りたら合格結果が分かるのだと考えたからであった。そうした僕の緊張を察したのか母が「いよいよだね。頑張ってきたのだから大丈夫だよ。」と声を掛けてくれた。僕は黙って頷いた。
続く…

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