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【番外その12 カブトムシのかご】

今からおよそ16年前、僕のお小遣いで4歳の長女に買ってあげたカブトムシ。残念ながら1週間位で天に召されてしまった。
1週間の間は毎日僕が餌をあげたり、かごの中を掃除したりしていた。
カブトムシは時折かごの中で羽を広げてブンブン大きな音を立てていた。
かごの中が狭く感じたのか、もしくはその様な習性があるのか。
毎日、何回もカブトムシを愛おしそうに見ていた長女。
カブトムシがひっくり返って天に召されてしまった時にはとても悲しそうにしていた。
そのカブトムシと一緒に購入したかごと餌となる蜜そしてかごの中に入れる土と止まり木がマンションの物置に残っていた。
どうしても中々捨てることに踏み切れず、もう飼われることのないカブトムシのかごが当時の状態のまま、物置の奥に入っていた。
今年になり断捨離を実施しており、遂に玄関前にある物置も対象として行った。
一度手に取り、一瞬捨てるかどうか迷ったがもう取っておいても使うことのないものだ。
物を処分したからといって思い出自体も無くなってしまうものではない。
1週間とは言え、うちに来てくれたカブトムシのお家だったかごに感謝を込めてそっとごみ袋に入れた。
マンションの1階の横にあるごみ保管所にカブトムシのかごの入ったごみ袋を持っていき、少し名残惜しい気持ちを感じつつ丁寧に置いた。

僕は長女が5歳になった数日後、長女達と離れて暮らす様になった。
笑顔で過ごしていることを心から願う。
そして僕も笑顔を大切に過ごそう♬

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