#352 意図せぬ涙

夏合宿での最終練習試合で大学クラブラグビー強豪チームの一つである早大GWラグビークラブに敗退。
試合自体の点差は最終的に大差となったが、試合終盤まで自チームは食い下がった。
試合後、自チームでは珍しく試合に出たメンバーが熱く語り合う光景が見られた。いつもは勝っても負けてもあまり感情を出さずに淡々と試合を振り返るだけの主将が涙を流さんばかりの表情で悔しさを前面に押し出して語りだしていた。
僕は堪えてはいたが、途中涙が止まらなくなり、泣いてしまった。
もちろん試合に負けた悔しさはあったが、不要と思われるラフプレーをして来るようなチームに勝てなかったむなしさ。
合宿初日で怪我をしてしまい、十分な貢献をチームにできなかった悔しさ。
そして、ラグビーとは関係ないこともその涙に影響していた。
前日、いつもの飲み会の後、ニュージーランドお土産を渡した気になる子が僕をラグビーサークルに導いてくれた同じ語学の同級生人Mと二人で夜道に消えて行ったのを見てしまった。
気になる子の友人に聞いたところ、二人は交際しているとのこと。
この夏合宿で気になる子と話す機会はなく、一度も会話を交わしていなかった。何となく避けられている気がしたのはどうも気のせいではなかったことがこの時分かった。
僕はその事実を知り、大きなショックを受けた。どうにも気持ちが整理できない中、迎えた練習試合。
感情がぐちゃぐちゃになっていた。その感情が練習試合負けの事実がきっかけとなり、噴き出してしまった様だ。
ニュージーランドラグビー留学から戻りやる気に満ち溢れて、気になる子にもお土産を渡し好感触を得ていた。ところが一転、一気に奈落の底へ落とされた気分。
仲が良い同期は僕を慰めてくれた。メンバー入り出来ず、試合にでれなかったその彼も泣いていた。
その晩は打ち上げとなる盛大な飲み会が行われたが、僕は気が晴れずに楽しめなかった。
宴はいつもの様に大いに盛り上がっていた。
翌日、午前中のみ練習をして夏合宿は終わる。
続く…

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