豆の上で眠る - 湊かなえ

姉が誘拐され、戻ってくるはいいものの、それが本物なのかどうか。そして、“本物って何”がキーワードになっていると思う。

日頃疎外感を抱いていた妹が、姉の誘拐事件をきっかけに自分自身とは何か、家族とは何かに向き合い続けるのだけど、最後は私は寒気がしたというか、少しの絶望感も味わった。

なんだか無性に居心地が悪い感覚になって、youtubeで海外のコメディーを見たくらい。

でもそれは面白くなかったとかではなく、むしろその逆で、読後感が独特だったから。

誘拐そのものも怖いのだけど、その裏に潜む思惑と、取り残された主人公の幼い少女が抱く違和感の正体が明かされないまま物語はどんどん進んでいく。

やっとこれから真相か!と思っても状況が把握できず、何度か読み返してやっと理解した。

私の読解力はまだまだなので、決して構成を批判しているわけではない。
巧妙に練られた話の紡ぎ方に必死に食らいついていったと言えば少しはイメージできるでしょうか。

物語を通して、主人公の少女にどっぷり感情移入していたのが快感でした。この感覚を味わえるのが小説の醍醐味だと思います。

どこにいても自分の空間が出来上がりますよね。結界を張るかのように。

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