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地球の中の格差を生きると言うこと 映画「リベリアの白い血」 (ネタバレ)

行き場のない、この感情。
先進国の生活は、安価に使われる後進国の労働力で担われている。 知っていることなのに、改めて映像で見せられるとどうしたら良いのかわからない。
リベリアでゴムの樹液の採取を生業にしている男が、NYにタクシードライバーとして出稼ぎにいく話。
リベリア国内でほとんど素人の中から演者を探したというこの映画、映画内でリベリアで話されている言葉が最初英語だってわからなかった。英語だってわかっても聞き取れない言葉がたくさんあった。 

ゴム園で働く男たちが搾取に反抗してストライキしようとして失敗する(目の前のお金が重要なんだ、と言う人や働きに行けという彼らの奥さんたちが現実だ)様子や、子供たちの無垢な「アメリカかっこいい」と言うセリフの後の観光ビザで出稼ぎに行く描写。それらはグローバル経済と言う意味で印象的なんだけれども、さらにこの映画の中では直接的には全く描かれない「内戦の記憶」の表現がとても興味深かった。

恥ずかしながら知らなかったが、リベリアでの内戦は2003年まで続いていたのであるらしい。「内戦」は隣人を殺す戦争だ。隣人を殺すのだから、たいていの内戦は相手との連帯意識を殺し、人間とは思わないことの求められる殺人方法を使う。

映画後半、NYに出稼ぎにきた主人公に同じ「リベリア人コミュニティ」の男が内戦で主人公が残虐に殺した場面を知る男だとわかる。彼は美人局を主人公に仕掛ける。請求される金を主人公は払えない。路上で言い合いになるも一瞬の隙に彼は走ってきた車に轢かれる。見殺しにした主人公の理由は、過去の記憶か、不法滞在か、何なのか。
タクシードライバーが集まる安い中華料理屋で、ヒスパニック系の同僚に「亡霊が追いかけるんだ」と行っても「休め」と気持ち悪がられる始末。そこに横たわる溝は深い。 

正直、答えは何も出さない映画。
現状をお知らせする映画。 ドキュメンタリーではないけれど。そこにあった確率の高いお話。
でも知ったからと言って私は何をするのだろう?
山口絵里子さん(MOTHER HOUSE https://www.mother-house.jp/magazine/column/eriko/1482 )みたいに途上国にフェアトレードな工場を作る?私が?

いいえ。全てに対して行動できるとは思えない。
でも、世界が広いこと自体を知ること自体に、意味はあると信じて、今日もせっせと世界の現状を読むのだ。
明日から一緒に働く人の事情がそこには描かれているのかもしれないじゃないか。

・この映画、NY在住の日本人が作った映画だって言うのも面白い
監督インタビュー。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5453/

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