177.名前とイメージ

 先日入ったお寿司屋さんで、外国人客向けに、メニューに英語の説明がついていた。マグロのことをTUNAと書いてあるようなあれだ。それはいいのだが、ガリのことをGARIと表記していたんですね。なんか、こう書かれるとイタリアのブランドみたいではないか。とても高そうでしょ?(GINGERでいいと思うのだが…)
 ガリならタダだが、GARIだととても無料とは思えない。さらにフォントをおしゃれにGARIなんてされるとなおさらだ。ひょっとするとトロより高そう。少なくともコハダよりは絶対に高いな、これは……うん。 

 なにもここで、これからの寿司屋経営の国際化戦略について語ろうというわけではない。名前についての話なのだ。 
 かつて、知り合いのプロデューサーが冗談めかしてぼくにこう言ったことがある。
「俺がやった最大の功績は、桂米助の名前をヨネスケに変えたことだね」
 これは実はすごいこと。たしかに、**家*助とか、**亭*朝といういかにも噺家然とした名前だと、どうしてもそのイメージから抜けきらない。本人に多方面の才能があろうとも、世間は古臭い演芸のレッテルでしか見てくれないのだ(断っておくが、ぼくは大の落語好き!コレクションもいっぱいあるんですよ)。
 しかし、名前の表記を変えるというたったそれだけのことで、イメージアップをはかることができる。
 かくして、ゲストはコメンテーターに、司会者はキャスターやMCになっていくのである。

【モンダイ点】
◎MCはマスター・オブ・セレモニーの略にすぎないと、何人が知っていることやら。

(2001/10/3)

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