216.日本代表再び

 きれいごとで締めくくってはいけない。W杯日本代表の戦い方についてだ。最後のトルコ戦はひどい試合だったのだから、それは責めるべき。全部ひっくるめて「感動をありがとう」ではいけないのだ(あぁ、こんなことを書くと感動さめやらぬサポーターやマスコミに怒られるだろうなぁ…)。
 このW杯は「トルシエのおかげで勝ち、トルシエのおかげで敗れた」と見ている。彼は元来、試合がはじまると何もできない人だった。優秀な訓練教官ではあったが、優秀な監督ではなかったのだ。それが一次リーグでは突然、名監督に変身した。W杯で最も成長したのは宮本でも稲本でもなく、実はトルシエだったのだ。これは最大限にほめたたえよう。もちろん選手たちに対しても同じ。ここまでは「感動をありがとう」。同感、同感!

 だが、決勝トーナメントで全員が元にリセットされてしまったのだ。トルシエの戦術は目茶苦茶、選手はオドオドし、勝てる試合を落とした。
 トルコ戦は、たまたま仕事先のNHKでテレビを見ていた。終了直後に渋谷駅まで歩くと、すでにあちこちに大量のお巡りさんが動員されているのに驚いたが、数人の青い服を来た若者たちがこの時点で「日本、よくやったよ」などと言いあいながら歩いているのに出くわし、さらに驚いた。「よくやってない」のだ。最後の試合に関しては。
 暴れろと言っているのではない。ダメな所を怒ってこそサポーターじゃないか? マスコミじゃないか? そこから更なる成長があるのだから。

【モンダイ点】
◎このW杯で成長した男がもう一人いた。中西哲生だ。その他の多くの解説者はモンダイだったなぁ。

(2002/7/10)

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