225.レポーターの超能力

「このへんに、***がいると聞いてやってきたんですが……」
 というのはレポーターが登場早々、歩きながら言うお決まりの文句だ。***の部分に入るのは「すごい特技を持った美人中学生」でもいいし、「ラブラブの年の差ご夫婦」でもいい。「行列のできるラーメン屋さん」の場合は表現が「***がある」と少し変わるが、基本的には同じ。
 そしてレポーターは、この言葉を発した3秒後には目指す対象を探し出し「あ、いました。いました!」などと叫び、さっさとレポートが始まるのだ。

 誰かに聞いてやってきたという不確かな状況なら、普通は必ずしも探す対象を発見できるとは限らない。時には、
「探したけど***は見つかりませんでした。そこで、今日の教訓……人に聞いた伝聞だけで行動してはならない。それではまた来週!」
 と終わるレポートだってありそうなものだが、そういうケースはない。
 なんという驚異的な調査・捜索能力ではないか!レポーターはどんな人物や物件でも、100%確実に発見するのだ。しかも、あたりを二三度キョロキョロしただけで! これはもはや、超能力と呼んでもいいのではないか?

 そこでぼくは提案したい。ぜひ彼ら彼女らに、「このへんに、あの迷宮入り事件の犯人がいると聞いてやってきたんですが……」
 とやらせてみればどうだろう? 警察が何十年も捜索して見つからない犯人も、あの人たちならたちどころに探し出してしまいそうではないか?

【モンダイ点】
◎探し出した上にインタビューもし、さらに事件の再現VTRへの出演までさせてしまいそうではあるが。

(2002/9/18)

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