183.地元意識

 いま仕事で大阪に来ている。間が悪いことに、日本シリーズでヤクルトが優勝を決めた翌日に、近鉄の本拠地であるナンバに入ってしまった(しかも近鉄劇場での仕事ときている)。テンションが落ちること、おびただしい。
 町並みを見ても、
(ああ…近鉄が勝っていれば、きっともっと華やいでるんだろうなぁ)
 と思ってしまう。仕事の相手である地元の方に「よろしくお願いします」とあいさつされても、
(ああ…勝っていれば、きっとこの人「ヨッシャー!」なんて叫んでるんだろうなぁ)
 と思ってしまう。
(タコヤキの一個ぐらいくれたかもしれない)
 とも思ってしまう。街を歩いている人々を見ても、
(勝ってれば、全員スキップで通行していたに違いない)
 ともはや妄想の域に達している。

 あげくにその日の夜、各局のニュースショーに分刻みのスケジュールで出まくっているヤクルトの古田を見ていると、思わず、
「ケッ」
 なんて言葉が口をついて出てしまった。ヤクルトスワローズにも古田にも、もともとなんの感情もいだいていないのに、だ。わずか数日の大阪滞在のくせに、にわかにわきたつ地元意識! 東京一極集中の冷たさを、こんなときに感じてしまうのだ。

 アメリカのメディアはここらへんをうまく使いわけ、スポーツイベントと地元放送局が共存共栄していると聞く。多チャンネル時代を迎え、日本もそうなっていくんだろうなぁ。

【モンダイ点】
◎とはいえ、近鉄バッファローズのマークがはいった和菓子(そんなものがあるのだ!)は食べましたが。

(2001/11/14)

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