184.なぜ炎が?

「地震・雷・火事・親父」
 というのは怖いモノのランキングだが、
「涙・赤ちゃん・犬・炎」
 というのはなんだかご存知だろうか?

 最近の放送現場では、これ、視聴率の取れる映像と言われているのだ。ほら、前後の脈略とあまり関係なく、
「さぁ~てここで、かわいいワンちゃんのVTRを!」
 なんて出てくる理由はここにある。なぜか猫だと視聴率はイマイチで、犬でなければ駄目らしい。
 また、タイトルの後ろに炎がメラメラ燃えているケースが多いのも、この理由だろうなぁ。なぜ炎なのか? かつて暗い洞窟の中で、
「うががが…」
 などとうめきつつ、その日仕留めた獲物の肉を焼きながら焚き火を囲んでいた遠いご先祖様のDNAが、視聴率にまで及んでいるのか? ならば、ヒトは火を手に入れた時、文明と同時に視聴率も手に入れたと言える。

「涙・赤ちゃん・犬・炎」
 一見脈絡がないこの四つに、ぼくは「放っておいては危険なモノ」という共通点を発見したのだ。赤ちゃんも犬も、目を放すと何かしでかしそうで危ない。泣いている人は、そのままよからぬことを考えやしないかと心配になる。燃えている炎は、放っておくと火事になる(別にテレビは燃えやしないのだが)。ね?

 で当然、バカな放送作家たちは、
「火事の中に取り残された赤ちゃんを犬が助けて、お母さんが泣く……これは視聴率が取れるぞ!」
 と、今日も会議で言いあっているのである。

【モンダイ点】
◎「犬の赤ちゃんが、火がついたように泣く」は? それってただ子犬が鳴いてるだけだろーが!

(2001/11/21)

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