125.経済波及効果

 プロ野球の優勝の行方が話題になる時期には、毎年のことながら「×××が優勝した場合の経済波及効果は**億円」というもっともらしい情報が出てくる。
 銀行の調査部とか、なんとか総研とか、かんとかシンクタンクという所が発表するのだが、この積算根拠がよくわからない。だって、デパートの優勝セール程度では、どう考えてもそんなに巨額になるわけがないのだ。

 その謎を解く鍵は、意外にもウチの近所のイ○ーヨー○堂にあった。この店は実に何にでも便乗してセールを行うスーパーで、プロ野球は関東のチームであればどこが優勝しようとたいていセールをやる。高校野球でも、以前、松坂の横浜高校が優勝した時は大々的にやってた。ウチは神奈川県なのでそれはわかるのだが、今年の夏は「東海大浦安高応援感謝セール」なんてチラシが折り込まれていた(千葉県の学校であり、さらに準優勝だったのに……)。

 きっと、なんたらシンクタンクは、こうした草の根レベルの経済波及効果まで予想しているのだ。お店は優勝セールで儲かるだろう。そのために作るチラシで、広告屋さんも儲かるだろう。すると印刷屋さんも儲かるだろう。さらにそのチラシをネタにぼくがこのコラムを書くと、原稿料が儲かるだろう。その原稿料で友達にラーメンをおごるとラーメン屋さんが儲かるだろう。その友達は気分よくパチンコをするから……と、そういったことをすべて予測しつくしての**億円に違いない! 
 なんだか「風が吹けば桶屋が儲かる」という話を思い出してしまったが。

【モンダイ点】
◎もう一つ、「広告料に換算すると**億円」というのも、アヤシくないか?

(ステラ/2000/9/20)

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