176.フリートーク

 今回は、バラエティタレント志望者にとって役立つことを書こう。

 先日、若手のお笑いコンビたちにフリートークの課題を出した。すると、これができないんですね。
「ネタならば、出来不出来はあるがちゃんと作れる。なのに、なぜフリートークが出来ないのか?」
 ぼくが推測するに、どうやら彼らは「フリートーク」というものを、その言葉通りに「自由な雑談」と考えているらしいのだ。え? 今これを読んでいるあなたも、そう思ってたって? 違うんですよ。
 はい、ここんとこ試験に出るからね。赤線引いて(何の試験だよ?)。フリートークというのは漫才とかコントと同じように「見せ方」の呼び名であって、内容のことではないのだ。

 テレビを見ていて「フリートークがうまいなぁ」というタレントさんたちがいるでしょ? あの人たちは、ただその場の思いつきをべらべらしゃべっているわけではない。ちゃんと、そのネタとおおまかな構成が頭の中に用意されているはずだ。言われてみれば当たり前のこと。だが、つい「フリー=自由」という言葉に騙されてしまうんですね。
 現在のテレビ・ラジオはキチンと作りこんだ笑いを嫌う。だから、コメディはコントや漫才にとって代わられ、さらにそれもフリートークに代わっていく方向にある。それをいち早く感じ取ったタレントたちが人気になっているわけなのだ。はい、ここんとこも試験に出るからね(だから、何の試験なんだよっ!)。

【モンダイ点】
◎でもこれはテレビ・ラジオだけ。舞台や映画、ビデオでは違うのですがねぇ……。

(2001/9/26)

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