駅のキオスクに貼られたスポーツ新聞の速報見出しに、でっかい文字で『イチロー美技！』と印刷されているのを見て、ぼくは、
「おいおい、あのイチローが祇園の舞子さんとナニかあったのか？」
　なんて思ってしまった。（それは美技じゃなく、美妓だろーがっ！）
　普段ろくに野球など見ないくせに、今年はメジャーリーグのイチローが気になるという、にわか野球ファンが多い。なにを隠そう、ぼくがそうである！　エッヘン。

　にわかファンだから、野球特有の言葉がよくわからない。「美技＝ファインプレー」だと気付くのに38秒もかかってしまった。しかし今では「超美技！」という文字を見ても、それが絶世の美女（もしくはコギャルっぽい舞子さん）だとは思わなくなったゾ。再び、エッヘン。←イバることか！
　野球用語では他にもわからない言葉がある。
『右直』　ガチガチの右翼思想の持ち主で直情径行のアブナい人……ではなく、ライトライナー。
『左直』　腕のいい左官職人の直次郎さんを、みんなが親しみを込めて左官の直さん・略して左直と呼ぶ……のではなく、レフトライナー（無理やりな間違え方だが、なんとなく人物像が浮かんでくるのが不思議だ）。
『補殺』　捕らえて殺す……のではなく（漢字が違う！）、バックホームアウト。

　一つの閉鎖された社会では自分たちが他者にわからない言葉を使っていることにマヒしてしまう。
　ことは、お役所だけではなく。

【モンダイ点】
◎『野手選択』がフィルダースチョイスだとわかったところで、やっぱりその内容はわからないが。

（2001/11/7）