114.ラスベガスにて

 いま、この原稿をラスベガスで書いている……いいなぁ、カッコいい!一度こういう出だしの原稿を書いてみたかったのだ。
 が、実は日本にいる。いや、たしかに来週はラスベガスに行くんですよ。このインターネット時代だ。どこへ行こうと、向こうで書いた原稿をパソコンのEメールで送ればいい。簡単な話だ……けどね、ぼくにはそれをちゃんと実行できる自信がない。で、いま先に書いておこうというわけ。あぁ、カッコ悪い!
 なんでそんな所へ行くのかというと、ぼくはいっこく堂の作家兼演出家兼プロデューサー兼ムダ話相手として、彼のラスベガス行に同行するのだ。
 現地で、いっこくさんは「ベガス2000」という腹話術大会に出て演目を披露する。これは日本人初の快挙で、とても名誉なことらしい。

 この件を発表してから、たくさんの取材を受けた。その中に「日本とアメリカの笑いの違いについては?」という質問がとても多かった。この質問は、国内においては「東京と大阪の笑いの違いについては?」というものと同じ。とてもポピュラーなものだ。
 だが、実はぼくは、そんなことあまり意識していない。だって、東京でも大阪でも、面白いタレントは面白いし、面白い設定は面白い。それはアメリカ映画を見たって、フランス映画を見たって同じだ。上質なエンターテイメントはどんな場所でも受け入れられる!……少なくともそう信じていなければ、この商売やってられないではないか。

【モンダイ点】
◎その証拠に、今いっこく堂はベガスで大拍手に包まれている、と思う。なにせまだ日本にいるもので……。

(ステラ/2000/6/28)

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