157.物語の力

 いま「オンライン文学賞」というものの審査をしている。
 これはその名から予想されるように、インターネットで募集された文芸作品のコンテスト。数百本の応募があったらしく、何次かの選考を経てぼくの手元に来た作品が80本程度。この中から上位作品を選ぶのだ。
 おかげで連日、作品がプリントアウトされた大量の紙の束と格闘している(オンライン文学ではあるけれど、やっぱり紙に印刷されていないとじっくり読めない。ここらへん、しょせん、にわか電脳派である)。

 なにせネット時代だ。なにか新しい仕掛けの表現作品が来るかと思っていたのだが、来たのは小説やエッセイというこれまでにある表現形式ばかり。そこでぼくは、
「オンライン文学なんですから、たとえば最初から映像と一緒になった作品とか、クリックするとどんどんリンクしていく物語とか、そういう仕掛けにすればいいのに」
 と得意気に言ってみた。
 ところが、そういう仕掛けの作品は総じて面白くないという。
「結局、元々の物語としての力がなければだめなんですよ」
 とのこと。
(あぁ、にわか電脳派敗れたり!)

 耳が痛い話である。テレビの世界も、最近やれBSだ、CSだ、デジタルだ、双方向だ……と賑やかに騒いではいるが、結局最新技術を使った仕掛けばかりを話題にしていないか?
 番組も、元々の物語としての力や、企画としての力がなければだめなんですね。

【モンダイ点】
◎最近、ケータイでメールを打っていたら親指がツッてしまった。にわか電脳派みたび敗れたり!

(ステラ/2001/5/9)

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藤井青銅

まだある TVのモンダイ点

さらに前からの続きです。
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コメント1件

物語の力とはなんだろう?それが異常な出来事であるからだろうか。断じてない。異常なものは、正常なものの一部でもある。
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