83.健康番組ブーム

 某大手スーパーチェーンには、テレビの健康番組用の担当者がいるという。それぐらい、いまやテレビをつければあちこちの番組でやれ「キムチが体にいい」だの「ゴマが効く」だの「いや、梅干しですよ」と、体にいい食材の紹介が花盛り。放送の翌日にはその食材がちゃんとスーパーの店頭に並び、そして飛ぶように売れていくのだ。
 魚介類にはタウリンが含まれているとか、トマトにはリコピン酸、緑茶にはカテキン……などという専門的な知識をそこらの国民が知っているという状況は、これはかなり特殊なのではないか? 世界の中で、こんな国が他にあるのだろうか?  
 これはもうあきらかに、テレビを見る層が健康を気にする年代にシフトしてきたということだ。 

 今までのテレビは、CMを見て消費行動をおこしやすい二、三十代の女性に向けて番組を作ってきた。それがここに来て、テレビ視聴者の主役が若い世代から中高年層に変わったのか――と思いがちだ。
 だが、そうではない。
 かつてトレンディードラマを見ていた若い世代が年齢を重ね、健康を気にする年齢になった――というだけなのだ。

 ここで話は突然変わるのだが、雑誌というものは発行を続けていくうちに読者も一緒に年を重ねる。それにつれ、企画内容を読者の年齢に合わせていく。すると、新しい下の世代が入ってこなくなる。
 この繰り返しで、放っておくと雑誌はどんどん年寄り化していくのだ。
 現在のテレビの健康番組花盛りは、この状況に似ている。若いファン層をテレビゲームに取られてしまったのではないか? 

【モンダイ点】
◎ということは、しばらくするとテレビゲームソフトは健康ものだらけになるのだろうか?

(ステラ/1999/11/18)

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