158.デフレスパイラル

 気が早い話だが、今年の流行語大賞はすでに決まったと見ている。「デフレスパイラル」だ。ニュース、新聞、週刊誌と、最近この言葉が出てこない日はないもの。

 その意味はさて置いといて(置いといていいのか?)、言葉の響きがいいんですね。まず「デ」という濁音で始まるダーティーなイメージ。そこへ「スパイ」というシャープな語感が続き、「ラル」というちよっとアカデミックな響きで締める。
 言葉としてカッコいいのだ。インパクトが強い。これまで評論家の金科玉条用語であった「バブル崩壊」という言葉よりもスマートで、「IT」という言葉よりもイメージ喚起力がある。

 こんなキーワードを放っておく手はない。だから今後さまざまな分野に使われると予想するのだ。

○連続ドラマ「デフレスパイラル」……企業モノであるが、そこに悪女とドロ沼の関係に堕ちていく男の姿を重ね、第二の失楽園路線でヒット。

○ロックバンド「デフレスパイラル」……ハードロック。反社会的な歌詞とファッションで人気になる。

○漫才コンビ「横山デフレ・西川スパイラル」
デフレ「どうもぉー、デフレです!」
スパイラル「スパイラルちゃんでーす!」
デフレ「えらい長いな、キミの名前」
スパイラル「長いですか?」
デフレ「ちょっと無駄なものを省いたらどうや?」
スパイラル「わかりました。では最初からもう一度」
デフレ「どうもぉー、デフレです!」
スパイラル「ス、です!」
デフレ「省きすぎや!」
スパイラル「デフレだけにね」
 …不景気ボヤき漫才として売れる。

【モンダイ点】
◎こんなにみんなヒットすれば、世の中はデフレスパイラルにならないのだろうが……。

(2001/5/16)

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