92.Jからeへ

 2000年になったということで、なんだかやたらに新しい時代を意識したCMがテレビから流れている。そんな中で、よく見かける文字に気がついた。
「e」である。
 もちろん、きっかけは「e(E)メール」だろう。確かにここ数年の新しい流れであり、恐らく今後主流になっていく文化だろう。
 ここから派生して、やれ「eコマース」だの「eトレード」だの「eビジネス」だのという言葉がCMの中に登場してきたのだ。どれも、言っている意味はまったくわからないのだが、なんとなく21世紀っぽい気はする。

 かつて「Jリーグ」という一つの大ヒット商品をきっかけに、我も我もと「J」を名乗り始めた時に似ている。民営化したほとんどの元国営企業はたいてい「Jなんとか」であり、民営化しなくても愛称として、JAとかJRAと呼ばれたがった。民間では突然、和牛はJビーフを名乗り、かに道楽はJRIに変わり、ニューミュージックはJポップになった。
 Jというなんの変哲もないアルファベットに「最先端」「カッコいい」という付加価値が生じたからだ。それと同じ。今度は「eメール」という大ヒット商品をきっかけに、同じ付加価値がeというアルファベットに移りつつある。今後、我も我もと「eなんとか」を名乗り始めるだろう。
 まずは郵政省など愛称としてeという文字を採用しそうだ。民間でも突然、和牛はeビーフを名乗り、インターネット配信のJポップはeポップになり、やがてはeフレンドなんて企画モノユニットも出てくる、とぼくはふんでいるのだが……。

【モンダイ点】
◎かくして、電車においてはあの「e電」が復活するのだ。早すぎたのかJR東日本?

(ステラ/2000/1/27)

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