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また、ダーツを始めようと思った。

2007年、渋谷のダーツバーBeeで出会ったのは、16歳にしてRt16あった男の子だった。当時はダーツブームで、Beeで働いているスタッフ達も世にいうイケメン・美女が働いていた。
正直私が出会った男の子は、イケメンではない。だけど、何故か彼にハマり、あっと言う間に付き合い、同棲を始めた。
彼との恋愛としての思い出はまぁ最悪のものだったが、ダーツを教えてもらったという点では私の人生の中でも奇跡だったのではないかと思う。

元カレはRt16あったが、やんちゃが過ぎて、バイク事故が原因で肩を壊し、Rt5~6くらいに下がってしまった。それでも曲りなりにも元Rt16。
彼の練習方法は、凄いものだった。

家にダーツボードと鉄パイプを設置して、このラインより上に腕が上がらなかったら鉄パイプに激しく打ち付けられる、痛みを伴うハードな練習法だったと言う。
青あざを作り、泣きながら練習を続け、強い相手との対戦の数をこなし、成長をしていったそう。
そんなストイックな元カレにダーツの基本を教わったので、私の投げ方は綺麗だと言われるのだと思う。

この元カレとの付き合いは、そんなに長く続かなかったが、ダーツ熱は続いた。
当時投げていた場所と言えば、Bee、ロスカボス、個人店のダーツバーなどなど、歌舞伎町や渋谷周辺でダーツを投げ、テキーラマッチに参加し、酔っぱらってくると、

「まだ入れないで!」

なんて、セクシャルシーンを彷彿させるような声を上げて、ダーツバーの常連客と遊んでいた。

真剣に投げ込みを始めたのは、蒲田に住み始めた頃だった。
何故か、大田区周辺にはけっこうダーツプロがいたのだ。

例えば、岩永美保さん。私が練習先としているネットカフェに彼女もよく来ていて、腕を真っ直ぐ伸ばし、綺麗に手が返る。傍目では軽く投げているように見えるのに、しっかりとブル・トリプルに入っていく。
そんな彼女の近くで、綺麗な投げ方を見て、練習出来たのは良い環境だったと思う。

そして、ダーツプロの間でもレジェンドと呼ばれる大輔さん。
彼と同じバスになった時は思わず興奮して、しかも同じバス停で降りたので握手して下さい!と頼んだことがある。
彼は優しくて、気軽に握手に応えてくれた。

当時はmixiを使っていたので、このnoteのようにmixiに小説をアップしていた。相変わらず性的描写の多い小説だった為、運営側に何度も記事を削除され、折角作り上げた作品なのに!と悔しい思いをしたことがある。
最近は性的描写があろうと、勝手に運営側から作品を削除されることがないので、それについては書く側も安心して投稿出来るので助かっている。笑

話はズレたが、mixiにダーツについての小説をアップしたことがある。
その名も、WDC~ワールドダーツチャンピオンシップ~に参加する男性、ダブルスのトーナメントの様子。
10年近く前に書いたものなので詳細は覚えていないが、男性二人が世界大会の為に練習し、ついに参加がかなった。
だが一人の男性が試合中に、腕の異変に気付く。腕の痛みに耐えながらも試合を続けるが、ついに足をガクッと折るほどの痛みを感じてしまう。

「棄権しよう」

ダブルス仲間が彼を心配して声をかける。

「なんでだよ!世界はもう目の前にあるのに!」

仲間の制止を聞かずに投げ続けようとする男性。だが、もう投げられなかった。痛みが強すぎて。

「ダーツの大会はまたあるから。でも、お前の体は一つだろ?まずは腕を直そう」

男性は泣きながら、仲間の言葉に従った。
あと一歩の所で叶わなかった世界への夢。
それでも男性は腕の痛みを克服し、再度世界へと挑戦する…

こんな内容だったかな。この小説、鬼山さんに紹介されたんです。
その時は鬼山さんの存在を知らず、木山という名前のお父さん歌手が巷で話題だったので、それでキャラクターに木山と名前をつけた。
良い解釈のお陰で、「俺の名前が小説に使われている」とmixi内でアップして頂き、お陰でたくさんのダーツを愛する人たちが私のページに訪れたと思う。
この件については今でも鬼山さんに感謝を言いたい。

ダーツと出会って13年目。
真面目に練習を重ねても、最高Rtは7.8くらい。最高CUは800点以上。
最高スタッツ、01:110 クリケ:6。
この数字はたたき出してはいるが、それも昔の話。
今、ダーツバーで言われるのは、

「最近始めたばかりですか?」
「投げ方、綺麗なんですけどね」

上記の数字を出したことがある、なんて言っても信じてもらえないだろう。大体、Rt3~4くらいに見られる。それも当然だ。練習も一切していないのだから。そして、実際に入っていない。

それでも先日、久しぶりにダーツを投げてみた。
すると、ハウスダーツでCU500点超えた。もちろん、いきなり超えたわけではなく、ウォーミングアップを終了してからではあるが、正直思った。
私のダーツスキルもまだ捨てたもんじゃないかな、と。

過去の栄光にしがみつくのではなく、今を楽しんでみようと思う。
過去にどれだけ良い成績を残していたとしても、今はまた違う。
今、この瞬間を大切にし、流行りのマインドフルネスのように、過去ではなく未来でもなく、「今」に集中することで、新たな発見がある。

また、ダーツを始めようと思った。

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