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今日泣きそうになった出来事



長年カットしてるキューバ人のおばあちゃんが居るのだけど、パンデミック以降顕著に言葉が出てこないようになった。13歳でキューバからマイアミに移民として来て長年住んでるから訛りはあっても英語はスラスラ話す。でも最近は頻繁に話の途中で言葉が出てこなくて「えーとなんていうんだっけアレ、、」と考え込むようになってきた。

うちのアシスタントはエクアドル出身でシャンプーしてる間は2人でいつも楽しそうにスペイン語で喋ってるから、普通のお客さんよりちょっと多めにシャンプーの時間取っている。
今日もワーワー2人で盛り上がってるからその間にランチ食べた。

椅子に戻ってきたおばあちゃん、私の顔を見てSayuri!って言ってから笑顔でベラベラ私に喋り出した。
スペイン語で。

あっ間違えた英語だよねってすぐに英語に戻るのかと思ったら、ずっと私にスペイン語で話しかけてる。
アシスタントもびっくりして後ろで固まってる。
どうしていいのか分からない私はしばらく聞いてから「全部分からないから英語で話す?」って拙いスペイン語で彼女に言った。

私の顔をまっすぐみて10秒くらいたっぷり沈黙したおばあちゃんは、ボロボロ涙こぼして手で顔を覆った。
話す言語を間違えてそれに気づかなかったことが自分でもとてもショックな様子だった。
私の方を見て英語で「ゴメンねゴメンね。どうしよう、サユリのこと分からなくなったらどうしよう」って泣いて言うから、自分でも日々の生活の中でもしかしたら認知症なのかもと思う出来事はあるんだろうなと思った。
なんだか、、、こういう時にどういった言葉をかけたら良いのか分からないし、変な慰めみたいになりそうな言葉は良くない気がして「泣かなくていいよ、謝らなくてもいいし。I’ll be always with you」って泣き止むまで手を握ってたんだけど。
アシスタントと他のスタイリストも来てみんなでグループハグになった。

帰る頃には落ち着いて「自分で来れなくなったら娘に連れてきてもらうから!」って言ってたけど、とても切ない。
日本で介護施設に入ってる認知症の私の母親を思うと、母もこういう瞬間があったのかなぁ怖かっただろうなと思って、そういう時に私は遠く離れててなんの言葉もかけられなかったと思うとますます切ない。

私に何かできる事あるかなぁ。
寄り添うくらいは出来る。


(写真は母と亡き父を一緒に写した最後の写真)

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