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【毎日note424日目】凡人だってそこそこ大変に決まってる。

昨日も書きましたが、私はいつも、人生にはなぜ、「生き方完全制覇マニュアル」的なものがないのだろう…!?

と、常々残念に思っていました。

だって、凡人として人生を歩んでいる私ですら、時々「もうやってられんわーーー!!!!!」という事態が、度々人生には訪れます。

ゲームみたいに、攻略本があればとっても助かるのに。

なぜ迷ったり悩んだりした時に、誰も「正解」を教えてくれないのだろう…。

自分で試行錯誤した末に、「ああ…また間違った…」と思われる選択肢を選んでしまうのだろう!? と、不条理な現実をただ嘆くことしかできなかったのです。


しかし、最近フと、「歴史を学べばいいんじゃね?」と気づきました。

人類なんて、同じことを何度も何度も繰り返しているし、先人たちは、名言はもちろん、過去の成功体験から失敗体験まで、様々な記録を残してくれている。

そう思って、図書館で偉人たちの本を色々借りてきたのですが、まずは、こちらを読んでみました。

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偉人といえば、その生き方が後世に伝えられるような「立派な人」というイメージが強いですが、人間的には、欠点が多く、社会人として、あるいは、家庭人としては、むしろ「失格」の烙印を押されているようなぶっ飛んだ人が、実のところ多い――。

本作は、そんな憎めない偉人たちの「名言」を数多く収録した一冊です。



登場するのは、ゲーテにマルクス、リンカーンにダリ、チャップリンにドストエフスキー、宮沢賢治に紫式部、ヘミングウェイにカフカ…と、誰でも知っているような超ド級の有名人ばかりなのですが、私は、教科書では決して紹介されない、ある意味とっても人間らしい驚きのエピソードの数々に、開いた口が塞がらなくなりました。



例えば天才作曲家・モーツァルト。

彼はカード賭博が趣味だったようで、中には国で禁止されているものもあったようです。

のめり込み、借金を繰り返し、知人に書いた手紙の中では

「真の友人が見つからないので、高利貸しから金を借りざるをえません」

と言っています。これは、音楽の本には載せられない言葉ですね(笑)。



名言の他にも、江戸川乱歩は、朝起きられないので、社会人生活も厳しくて、職を転々としており、チャルメラを吹きながらラーメンを売ったことがあるエピソードや、江戸時代の職人・測量家でもある日本地図で有名な伊能忠敬は、50代も半ばをすぎてから、74歳でなくなるまでの17年間で4万キロを歩き、日本地図を作成したエピソードにはとても驚きました。


紹介されている誰しもが、決して順風満帆な人生を送っておらず、死後に作品を認められた芸術家も多くて(むしろ生前に評価されている偉人の方が少ないかも)、彼らも現世では、稀有な才能をもってしても、死ぬほど苦労したのだな…と、人間らしい部分が伝わってきました。



私が個人的に一番印象的だったのは、第16代大統領のエイブラハム・リンカーンの奥様・メアリーさんのエピソードです。

リンカーンはアメリカで最も偉大な大統領として名が挙げられることも多く、「人民の、人民による、人民のための政治」という演説は超有名ですよね。

農家の丸太小屋に生まれるという貧しい環境から、大統領の地位まで上りつめ、南北戦争のさなか、奴隷解放宣言をして黒人奴隷の解放を訴えました。



そんな彼は、お嬢様育ちのメアリーという女性と結婚します。

しかし彼女は、リンカーンが何をしても気に食わず、罵倒することもしばしばあったそうです。

公衆の面前で妻に飲みかけのコーヒーを顔にぶちまけられることもあったそう。

結婚が決まった時、リンカーンはあまりにも気が進まなくて、半ば精神病のような状態に陥り、当日になって結婚式をすっぽかすという暴挙に出たそうです。



それから約2年後、再び結婚が決まったリンカーン。

結婚式に出かける時に知人に「どこに行くの?」と聞かれ、

「地獄だよ、たぶん」

と答えたというのですから、絶句してしまいます。

メアリーは、「アメリカ大統領になる男と結婚する」と公言する野心的な女性だったようです。

彼女の強烈な叱咤激励があったからこそ、リンカーンは大統領になれたという声もあるそうで…。



私は「恐妻」だと言われるメアリーに興味を持ち、ネットでちょろっと調べてみたのですが…。

上流階級出身のメアリーは、貧乏だったリンカーンと結婚し、なれない家事をこなしながら、服装に無頓着だったリンカーンを叱りつけ、洗練された格好をさせ、積極的に有名人に顔を売っていったそうです。


夫のプロデュースもさることながら、元々ヒステリックで情緒不安定なところがあったのに、4人の子供のうち3人は若くして亡くしているし、夫が暗殺されるところも目撃している…。

麻薬の常用者だったという話もあり、彼女の人生も中々ハードモードだったのではないかと思いました。

結婚生活って、庶民でも色々ありますから、「地獄だよ、たぶん」というリンカーンの言葉だけでは、メアリーを「恐妻のヒステリック妻」で片付けられないなとちょっと思ってしまいました。

まあ、それは私がどうしても女性目線で考えてしまうからなのですが…。

ファーストレディにまでなった女性が「残念」だけなわけないですよね。

メアリーさん、かなり気になったので、伝記とか出てないかな~。また読んでみたいです。(こういう時英語が出来れば、洋書が読み放題なのに…)



本作は他にも、犬のような生活を送ることを目指した、犬儒学派の哲学者・アンティステネス。またその弟子で、樽の中に暮らしていたディオゲネス。

言ってることとやっていることが真逆で、ツッコミを入れずにはいられない『社会契約論』で有名な哲学者のルソーに、厳しい禁欲生活の末、切実な名言を吐いた宮沢賢治など、ものすごい人たちの意外すぎる一面がたくさん紹介されていて、夢中で読んでしまいました。

そういう一面を知れただけでも、「天才ですらこんなハードモードな人生だったんだから、凡人だってそこそこ大変に決まってる」と、励まされたし、人生のコントラストですら、少し愛せそうな気がしました。

人生は大変で色々あって、欠点もあるからこそ、多くの人に愛される。味がでる。良いものが残せる。

そう信じて、少しは前を向いて頑張ろうと思えるとっても素敵な本でした。

図書館で借りたんですが、これは購入して、一冊家に置いておきたいです~!

さゆ



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