見出し画像

【毎日note405日目/6回目の有料note】私は名刺をもらえない/フラットな目線で考える(書評エッセイ)

結婚して5年。

昔のような…味噌汁が天井まで飛び、餡子とマヨネーズが部屋中に飛び散り、ポケットWiFiが宙を舞う喧嘩はなくなったけれど、時々(というか毎日)「カチン」と来ることはあります。


しかし、猫ちゃんが家に来たことで、なるべく平和を保とうとお互いに思うようになったことと、「どうせ離婚せんのやから喧嘩はやめよう」という夫の悟ったような、死んだ目で放つ一言で、喧嘩は早々にお開きになることも増えました。


あと単純に、お互い30代半ばになり、【疲れやすくなった】という切実な事情も大きく絡んでいるような気がしてなりません。゚∵・(ノД`)∵゚。 


しかしながら、私はきっと夫なしでは人生寂しすぎると思うのです。


私は友達がいないし、私の日常に登場するメンバーは、

「夫」

「猫のおもち」

画像1


以上!!!😂😂😂😂


という感じです。


正確に言うと、夫の両親やお姉さん、親戚とはわりと頻繁に会っているし、今はコロナで会えないけれど、関西の両親や妹とは連絡をとっています。

お仕事先の人とはメールでよくやり取りするし、グループLINEも飛び交うし(東京なので滅多にお会い出来ないのですが…)オンラインも含めれば、Twitterやブログなどでの交流もあります。


でも、やはりリアルな日常は、猫に話しかけ、夫の前で、ストレス発散に、音痴な歌を歌いまくり(今はYOASOBIがブーム)、あまりのひどさに耳を塞がれ…。

免許がないので自転車かっ飛ばしてスーパーに買い出しに行き、二人と一匹で川の字になって眠る(なぜかおもちが横向きで伸びて寝て一番場所を取る…)日常が紛うことなき私の真実です。


ある意味とっても平和だけど、それなりに不安や不満もある。でもそんな苦しみも、本を読んだり、一旦距離を置いたりして、自分で何とか解決策を見つけようと、思えば、昔は中々出来なかったことも少しずつ出来るようになりました。


考えてみればそんな刺激のない・大きな志もない視野の狭い人間の文章なんて面白いか? と思うのですが、もうこれが今の33歳の私なのだから仕方がない。


今の自分を認め、社会の隅の隅の隅に居場所を見出した気分になったりならなかったりして、色んなことをフラットに見て、文章を書き続けたいと思うのでした。


先日、そんな私の気持ちにピッタリ寄り添うようなエッセイに出会いました。


『人のセックスを笑うな』でデビューした山崎ナオコーラさんの『かわいい夫』(夏葉社)という本です。


画像2

本作は、「結婚、妊娠、出産ーーー素晴らしい!!!」といった内容では決してなく、全てをフラットに捉え、自分自身が今の生活に納得しているか? 心地良い夫婦関係を築けているか?ということに重きを置きつつ、時には色んなことをあきらめながらの日常が粛々と綴られています。


著者の山崎ナオコーラさんは、34歳で街の本屋さんで書店員をしている旦那様と結婚。

はじめに「私の容姿は悪い」「夫の収入はかなり低い」と、周りから羨ましがられる要素はあまりないことを明かした上で、二人のフラットで優しい温度の夫婦の日常が綴られるのです。


実際、現時点で大黒柱はナオコーラさんだそうで、他にも、本棚の組み立て、料理の手際、社会情勢の認識、切符手配、地図の読み方、すべてナオコーラさんが勝っているそうです。


また、結婚式の準備をしている最中に「自分の貯金額は40万円だと思っていたけれど、通帳をよく見たら桁が違っていて、4万円だった」と言われて、夜中に不安で目が覚めることもあったそう。

それでものほほんとしている旦那様に、逆に「のほほん力」を見習うことにしたというのだから、すごいです!(笑)


しかも、旦那様の予測不能な失敗のフォローもしなければならず、人生は大変になってしまった。


ーーしかしながら、ナオコーラさんは言います。

「全然後悔していない」

と。

ここから先は

1,977字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?