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レッズレディース三題        その一 韋駄天 遠藤優が戻ってきた

 さいしんコラムに書こうと思っていたけど、金曜日の更新に間に合わなかったので、こっちに書く。
 
 ずっと聞きたくて聞けなかったことを、ようやく質問することができた。
 12月7日、三菱重工浦和レッズレディースの練習後、選手2人と楠瀬直木監督の囲み取材が行われ、選手の1人が遠藤優だった。遠藤に僕が聞いたのはこういうことだ。

 遠藤選手はジュニアユース、ユースのころ、スピードが一番の持ち味で、右サイドを駆け上がって相手DFを追い越し、中へえぐってからクロスあるいはシュートという場面を何度も見せてもらった。
 しかし、なでしこリーグに上がってからはその良さがなかなか見られないと僕は思っていた。
 ところが昨年から、スピードで競り勝ちチャンスを作るという遠藤選手のかつてのプレーが戻ってきているように思う。自分の中で何か変化はあったのか。

 それに対する彼女の答えは単純明快で「プロになったから」だった。
 大学生をやりながら、あるいは会社勤めをしながらサッカーをやる時代は、やはりどこか甘いところがあった。プロになって、やらなきゃという自覚ができてきたのが一番の違いだと思う、と。

 その後、楠瀬監督にも同じ質問をした。監督はもっと具体的に「週2回、コーチについてもらって自主的に走り込みをやっている、その成果が現れている」と教えてくれた。

 本当にレディースユース時代までの遠藤は速かった。速かったし、そのことに自信を持っていたと思う。
 ただ、高校生までのストロングポイントはあくまでその世代間で発揮されるものであって「超高校生レベル=一流選手」とは限らない。高校時代までの遠藤を見ていて、絶対にこの選手はトップリーグでも一流になると思っていたのだが、なかなかそれが現実のものにならなかったので、やっぱり自分の感覚は専門のスカウトやコーチとは違うのか、と思っていた。

 そのことを確かめたいと思っていたのだが、まさか選手に「あなたは高校時代まで速かったけど、今はどうしちゃったの?」とは聞けない。
 先述したように、昨季からの変貌を見て、ようやく質問してもいいかな、と思えるようになり、今回その機会を得たというわけだ。
 伊藤純也や前田大然の例を挙げるまでもなく、サッカーにおいてスピードは武器であり魅力だ。そのスピードに、ボールコントロールの技術やプレーの判断などが加わると鬼に金棒、ということになる。先発で使われることが多くなった遠藤は、その部分においても実戦で磨かれていくに違いない。同期の塩越柚歩には少し遅れたが、日本女子代表にも呼ばれる日を楽しみにしている。

 ただ「韋駄天」は少し古いか。

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