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◎4月30日(2017年) 両者対極の成績で迎えた試合は「まさか」の結果に

2017年4月30日(日)、浦和レッズはNACK5スタジアム大宮で、大宮アルディージャとJ1リーグ第9節を行い、0-1で敗れた。5年前で止まっているさいたまダービーだが、今のところ最後になった2017シーズンの第1戦は、まさかの結果だった。いや、これがまさかではないのが、さいたまダービーなのだが。

3年連続リーグ優勝を逃していたレッズ

 前年、Jリーグで2ndステージを制し、年間1位の勝点を積み上げたものの、チャンピオンシップで鹿島アントラーズに敗れJリーグチャンピオンの座を逃していた。しかしYBCルヴァンカップでは優勝。ACLでは新レギュレーションになった2013年以来初めてグループステージを突破していた。

 チームの力はミシャ監督就任以降、ピークに達していたのではないか。
 GK西川周作、3バックは森脇良太、遠藤航、槙野智章、ワイドに宇賀神友弥と関根貴大、ボランチに阿部勇樹と柏木陽介、興梠慎三の1トップに武藤雄樹、李忠成の2シャドーという熟成度の高いイレブンに、ラファエル・シルバが加わり、那須大亮、ズラタン、青木拓也、駒井善成らが先発を争っていた。いま名前を並べてみただけで、レベルの高さを思い起こすことができる。
 2014年から3シーズン連続で頂点に近付きながら果たせなかったJリーグ優勝。大会方式も通年制に戻った今年は、絶対に獲る! というのはクラブ、チーム、サポーターに共通した決意だった。

JとACLダブルの制覇へ好発進

 シーズンが始まると、その期待がますます強くなっていった。
 まずACLでは、初戦のアウェイで、ウエスタン・シドニー・ワンダラーズに4-0の大勝。続いてホームでFCソウルに5-2。上海上港にはアウェイで2-3と敗れたがホームで1-0と、対戦成績を優位にした。そしてウエスタン・シドニー・ワンダラーズを再び6-1の大差で下し、1試合を残してグループステージ突破を決めた。
 Jリーグでは、開幕戦こそ敗れたが第2節から負けなし。第8節まで6勝1分け1敗で首位に浮上していた。ACL同様、リーグ戦でも得点力が際立ち、8試合で24ゴールを挙げていた。

MDPから

未勝利の大宮に襲いかかる攻撃陣

 この大宮戦。レッズは李がベンチスタートで、1トップがラファエル・シルバ、興梠と武藤がシャドーに入る布陣。ここまでゼロックススーパーカップを含む公式戦14試合で、この3人合わせて26ゴールをたたき出していた。14試合中、リーグ第5節の神戸戦だけは柏木の2点と遠藤の1点だけだったが、それ以外の13試合では、この3人のうち誰かが必ず得点していた。
 一方の大宮は、開幕から未勝利で1分け7敗の最下位18位。前回降格した2014シーズンの同時期(2勝1分け5敗)よりもはるかに深刻な状況にあった。ゴールは8試合で2点。言わばレッズの対極にいた
 ただ、そんなデータなど関係ないのが、さいたまダービーだ。

MDPの拙コラムから

ダービーの魔力か、まさかの無得点

 レッズのゴール製造集団が不発だった。
 大宮の選手たちは8戦未勝利に危機感を抱いていたし、シーズン最多の1万2千人を超える入場者の前で、力を振り絞っていた。もちろん、レッズの選手たちがダービー独自の重要性をわかっていなかったはずはない。過去22回のさいたまダービーは9勝6分け7敗。決して分が良いとは言えず、アウェイであろうと負ければ、いやドローでもレッズサポーターがどれほど落胆し、ときに怒りを爆発させる行為に及ぶか十分知っていた。
 だが普通にやれば勝てるはずの試合が、普通でなくなってしまうのもまた、ダービーの魔力であり、魅力であり、力関係を無力にしてしまう怖さだ。
 なかなか点が取れない状況による焦り、暑さによる消耗に加えて、ダービーの特殊性がレッズには不利に影響したのかもしれない。後半の63分に失点すると、ギアを上げた反撃も実らず、前年から続くリーグ戦連続得点試合が28でストップ。J1でのさいたまダービー8敗目を喫した。

MDPの拙コラムから

後にレッズは監督交代、大宮は降格

 シーズン初勝利を挙げた大宮だが、これを起爆剤にはできず、最終的に最下位でシーズンを終え、降格した。
 そしてレッズは、このあと好調ぶりにかげりが見え始め、7月のミシャ監督解任につながっていく。ちなみにこのシーズン第20節のダービーはホームで2-2のドロー。通算の勝敗では9勝7分け8敗と何とか勝ち越しているが、さいたまダービーを勝てずに終わっているのはシャクである。
 とは言え、早く大宮がJ1に戻ってきて欲しいと心の底から言えない自分がいるのも確かだ。異種異様とも言える盛り上がりは悪くはないが、この2017年のように「勝ってもともと」という状況では、決してレッズの有利には働かないのだ。もし大宮が神戸みたいに超大物選手を獲得して、一気に優勝候補に躍り出るなら話は別だが。
 サポーターにとってはアウェイのチケットが取りにくいこと甚だしいし、ついでに言わせてもらえば、アウェイのスタジアムは記者席も狭すぎるのだが、これは我慢するしかないのか。

 さて、みなさんは2017年4月30日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


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