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「難しそう!」の予想に反してスラスラ読めて、面白い本を7冊紹介します。

「読書が趣味なんです」という人もよくよく聞いてみると、ミステリーや小説だけだったりすることがあります。
以前にも、学術書を紹介する記事を書いたのですが、反響はいまいちでした。やっぱり「学術書」というネーミングが堅苦しいし「難しそう!」なんだと思います。
そこで、今回は「難しそう!」なのに「読みやすくて面白い」本に焦点を合わせて紹介します。
読みやすいのに、内容はぎっしりと詰まっているし、数行ごとに新発見があって、知的好奇心が尽きない読書経験になること間違いなしの7冊を厳選しました。
そして、今回は、モニター読者を数人に読んでもらって、実際に「面白かった」という生の声をいただけた本だけをセレクトしました。
以前紹介して、「難しかった!」な本は意図的に除外して、より多くの人が楽しめる内容を厳選しています。だからと言って、内容がないわけではありません。内容が濃いのに、読みやすく面白いという作家としてはこれ以上に難易度の高い仕事はないでしょう。


暇と退屈の倫理学

タイトルにいきなり「倫理学」とか書いてあるじゃん!絶対むずかしいだろ!詐欺師!
と思うかもしれませんが、断言します。
この本マジで読みやすいです。
まるでミステリー小説を読むような、謎に迫るような構成をしているので、ページをめくるのが楽しみでなりません。
扱っているテーマが、哲学的なのに、内容はかなり身近なところから深淵へ導いてくれます。
ぼくは、塾講師の仕事をしていたことがあるのですが、実際に「面白いよ〜」とこの本を紹介したら、今まで別の学部への入学を検討していた高校生が
この本をきっかけに、志望を哲学科に変えてしまった高校生も何人かいるくらいのインパクトがあります。
哲学とか倫理学ってどこか遠い世界のイメージがあるかもしれませんが、この本を読むとだいぶ身近なんだなぁということが実感いただけると思います。

amazon 世界最先端、最高の戦略

日本マイクロソフトの代表取締役社長経験者でありながら、書評サイト「HONZ」を運営されている成毛さんは、大の読書家としても知られています。
そんな成毛さんの力作がこちらです。
数年前に読んだ時、Amazonってそんなやばい会社なんだ・・と震撼したのを覚えています。
アメリカの巨大テック企業5つの頭文字をとって、GAFAMなんて、言われますが、その中でも頭一個抜けた業績を上げているのがアマゾンです。
この本を読めば、ふだん何気なくポチッてるだけのアマゾンが「企業としてどうなのか」という経営学者の視点をもつことができます。
もちろん読みやすさは折り紙付きなので、安心してポチってみてください。

14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に

元(?)東京都立大学教授の宮台真司の渾身の1冊です。
14歳向けとなっていますが、大人が読んでもかなりの満足感があります。

宮台真司は、90年代に名を馳せた社会学者です。朝生という討論番組で、バッタバッタと論客を論破していく姿勢に、メディアが持ち上げて、時代の寵児となりました。
研究成果をテレビの生放送で発表しちゃうという姿勢に、多くの学者を怒らせることにもなった毀誉褒貶のある人物です。
それから東浩紀という化け物が登場するのですが、それまではご意見番的なポジションの座を譲らない存在だったみたいです。(宮台真司が活躍してた時代には、ぼくはまだ幼少だったので「みたい」「らしい」でしかありませんが)
今でたとえるなら、成田悠輔みたいな存在でしょうかね。
最近は、襲撃されたり、ALPS処理水の問題でXが炎上したり文集砲にやられたりしてかなりの憂き目にあっていますが、それでもぼくは大好きです。
この本を読んで生きる力が湧いたという人は多いですよ。御多分に漏れず、このぼくもその一人。
全員に読んで欲しいなぁ。

日本をダメにした新B層の研究

適菜収さんは、大衆の衆愚化みたいなところに、警鐘を鳴ら続けている保守派の論客です。ウェーバーやニーチェやオルテガなど「難しそう!」な名前を度々引用していますが、スラスラ読めてしまいます。
ちなみに、B層という名称は、自由民主党が懇意にしている選挙コンサルの会社が、日本人をA〜Dのいずれかに分類した際に使われたネーミングです。

「B層には、「主婦と子供を中心とした層、シルバー層」を含み、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を何となく支持する層」を指すとされる」

引用

少々辛口ですが、それも味のひとつです。

民族という虚構

ぼくたちは「日本人」とあたりまえのように言っていますが、ぼくたち国民にこの意識を芽生えたのは、明治維新のことです。それまでは、日本人なんて意識はありません。せいぜい藩(実はそれも怪しい)。
イタリアもドイツもみんなそうです。民族や国民という概念は、歴史的にみればつい最近生まれたものです。
この本を読めば、そういうふわっとあたりまえになっているけど、よくよく考えたらおかしいことに自覚的になれます。
自由意志や責任など、曖昧にされているものに対して社会心理学者という立場で真っ向から挑んでいます。

演奏家が語る音楽の哲学

フルート奏者の筆者が、考える音楽の哲学です。
実はこの本の存在を知ったのは、慶應義塾大学文学部の小論文の入試問題でした。
「入試問題なのにこんなにおもしろくしちゃっていいんすか?」と読み進めながらわくわくしたのを覚えています。(この年の受験生は、ラッキーだっただろうなぁ)

わかりやすいのはもちろんのこと、筆者の教養の深さが伺えます。
演奏家って教養あふれる方が多いけど、この方もその一人です。
話があちらこちらへ点在するのですが、「知らなかった!」と知的好奇心が炸裂するような構成になっているので、大学の名物教授の講義を聞いているような気分で読み進められます。

17歳からの民主主義とメディアの授業 ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください

先に紹介した宮台真司のお弟子さんの東京工業大学の先生です。
複雑な日本の政治の仕組みが丸わかりになる一冊なので、中学や高校で公民をセルフ未履修なぼくにとって、マジでありがたい内容でした。
政治に関心をもちたいと思ったらまずは手にとってみることを勧めたい一冊です。

まとめ

この中で1冊選べと言われたら、そうだなぁ。
やっぱり宮台真司の『14歳からの社会学』だろうか。
ぼくの青春時代が詰まった本だったので、ぜひ読んでみてください。

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