昨日4/21、『BRA(Beautiful Realistic Asians) V4という偉大なる原石』というタイトルで記事を投稿した。しかし、あることを切っ掛けに一旦公開を中止した。今回は『BRA(Beautiful Realistic Asians) V4という偉大なる原石』の全文を再掲載しつつ、その経緯を説明する。

1.概要

　詳細は『BRA(Beautiful Realistic Asians) V4という偉大なる原石』再掲載部分に記載されているが簡単に説明すると、Beautiful Realistic Asiansはマージモデルではない。一から独自で学習させたモデルであり、私が待望していた新たな血統だった。
　しかし記事を掲載した直後のTweetと、それからDiscordでの直接のやり取りから、理不尽な事実が発覚し、その件で詳しい話をし対策を話し合った。

　BRA V1は学習をさせる際に、SD1.5をセットして学習させたものが半分。ChilloutMixをセットして学習させたもので、それをマージしたのだという。
　前提として、ライセンスは遡及適用されない。
　V1を学習させた始めた当時、ChilloutMixには商用利用は不可の制限はなかった。だから、BRA(Beautiful Realistic Asians) V4は商用利用可能なモデルである。
　ただしDreamlike License1.0は適用される可能性が高い。
　このLicenseがあまりにも理不尽な為、私は人生で初めて寄付を呼び掛ける手法を取った。

2.悪夢のライセンス

Dreamlike License1.0及び2.0にはこの記載がある。
10人以下のチームであれば商用利用可能である。これは有名だ。
しかし、この文言が追加されていることはご存じだろうか。

そしてCreativeML Open RAIL-MとDreamlike Licenseは、適切なライセンス表記をしていない場合は、自動的に本来あるべきライセンスと同一と考えるという解釈になる表記があります。
だからDreamlike License1.0の影響下に置かれる可能性が非常に高いのです。
それは新学習モデルに取っては致命的で、また私もそれをマージ等で利用しようとは思わないのです。

朧気ながら、chilled_re-generic提案段階から私はDreamlike Licenseの危険性を感じていました。
その後は徹底的しDreamlike Licenseを避ける思考になっていた為、詳しい問題点は忘却し、避けようという意識のみ残っていたのは否めません。

上記の自己Tweetに対し、今の知識上で返答するならばライセンスを読む限りは、派生モデルの著作者でも、その下流にある派生モデルの利用を理由なく停止させられるというのが現時点での結論です。
もちろん、Dreamlike License1.0が適法なのかどうかに関しては、専門家ではない為、分かりかねます。

ただ苦労し、新学習させたモデルが、このライセンスの下に置かれる可能性があるのはあまりにも理不尽で残酷です。その上、製作者:PleaseBanKaiさん(@PleaseBanKai)はこのことを知りませんでした。
では、今後どうするか。
話し合った結果、SD1.5の部分だけは再利用し、残りは再度別のモデルで学習させるという結論になりました。
ただ想定外の事態で、学習費用を捻出するのは厳しいとのこと。

無理もない話です。
では具体的に幾らあれば再学習できそうなのかという話になり、150$-250$(最終的に2万円程度あれば行けると思う)というものでした。
正直RTX4090であのレベルを学習させたら、電気代だけでもかなり掛かるのではないでしょうか。
想像よりはるかに謙虚な数字でした。

この金額なら私個人で出せなくはない範囲です。
ただ私は本来、AIイラスト界隈で活動をする予定で始めていて、AI実写界隈は『AI実写界隈が崩壊するとAIイラストのマージモデル作成にも今後に支障が出る』ことからchilled_re-genericを提案し、その流れで居ついた身です。
chilled_remixも同じ理由で生み出したものでした。

このBDさんの発言は、私の行動原理そのものなのです。

営利目的でも、名声目的でもない。日本で表立って実写系モデルをマージして公開する人が目立っていない為に、私はバランサーとして存在しています。しっかりライセンス確認をし、安心してマージできる実写モデルを作成してくださる方がいらっしゃるのでしたら、DMをください。
私の発信力で可能な限りはそれを広めます。

だから私が全額出すのは何か違う、やはりAI実写界隈の件は皆さまにも協力して貰うべきという判断から、半額(1万円)は私が寄付することにし、同時に寄付を募りました。

一人ワンコインでいい。それで貴重な技術を持つ人を味方に出来るのです。これ以上の投資はない。

そして皆様のご協力を得て、あっという間に目標金額は達成しました。
ご協力ありがとうございました！

以上が昨日4/21の夜に発生した一連の経緯を大まかにまとめな話です。

3.何故、BRA(Beautiful Realistic Asians)は希望なのか。

下記は、『BRA(Beautiful Realistic Asians) V4という偉大なる原石』というタイトルで投稿した内容を全文載せたものです。
これはBRA(Beautiful Realistic Asians) V4の価値を知ってもらう為に、再掲載するものです。また最後に現時点でのBRA取り扱いに関して追記します。

以下、全文

本日4/21、こっそりとTwitter上で、あるモデルのV4が先行リリースされた。

BraV4という名称のそのファイルは、BRA(Beautiful Realistic Asians)の新Versionである。

私は基本的に、他の人のフォロワー数を増やすことを手伝うことはしない。
RTも基本的に一定以上の価値のある情報・拡散すべき事項や、これは凄いなと感銘を受けた生成画像以外はしない。
そうしないと自分で後で読もうと、いいねだけ押したAI関連の論文やトピック等の情報が探しにくくなるからだ。
しかし今回は下記をRTした。明確な意味を込めて。

理由は簡単、ステージ2への道が開いたからだ。
そう言われても一切ピンと来ないと思う。
ただの商用可能なアジア系新モデルの発表なんじゃないの？と思うかも知れない。しかしこの意味はまるで異なる。

これは実写系マージの為のサンプリングを繰り返し、モデル分析をして理解したのだが、極東アジア系モデルの顔はほぼ、cafe-insta系の流れにあり、あとはポルノ系由来も僅かなものと海外モデルに含まれる微細な極東アジア系の顔以外データがないのでは、という結論を私は以前述べている。

(※El Zipangは人形が人扱いで混ざっていてデータ的に扱いにくい為、ほぼ利用されていなかった疑惑がある）
それが、アジア系モデル開発を追加で一切しようとしなかった理由であり、ずっと白人モデルの可愛い系調整を行っていた理由でもある。

韓国や台湾、中国圏でも同じ結論に至ったのだろう。ある時から完全実写系から、イラスト系を混ぜて顔立ちを変えて、出力での階層マージで肌質をリアル化する手法（GenesisLifeMixがこれ）。
イラスト系に実写を混ぜて、2.5Dにして更に表層をリアル化する手法。
あるいはLORAマージする手法が主流となっていた。

今回、chilled_remixを作成するにあたり、『指』は少し改善するかもを強調したのは、もうそこに壁が見えていて、モデルサンプリングで指は改善傾向にあったからそこならchilled_re-generic_v2を上回れる可能性がある。逆にリアリティは落ちるし、それ以外の面では単純に上回るのは困難と理解していたからなのだ。

しかしBRA(Beautiful Realistic Asians)の存在は全てをひっくり返す。

要するにマージモデルではない。新たな学習モデルである。
上記の新規学習する人が現れたのだ。
この情報を私は、4/10から知っていた。（V1は見逃していた）

しかし私が最初に見たときは全ての制限が×だった為、マージ候補から最初から除外していた。
（実はchilled_remix作成時点では、マージ後制限解除OKになっていたらしいも知らなかった）
けれどchilled_remix投稿後、制限解除などの情報が目に飛び込んできた。
衝撃だった。

正直に言えば、私は出来合いの冷凍食品を解凍し、盛り付け方で綺麗な弁当としているだけで、イラスト界隈からマージ経験者が来れば、容易く代替可能な存在である。

一方、この自前での学習モデルというのは大変な苦労だし、半端なことではできない。
加えて、初期学習モデルがそうであるように学習させても、何か半分人間だね？レベルで終わることのままある。
上半身だけ人間であとは空気の抜けたダッチワイフ化していたりはザラだ。
それを自前学習で普通に利用できるだけのレベルとしている労力と能力は半端ではない。驚愕である。

ただし、データとしては人物はアジア系女性のみを学習しているとのこと。

その為、風景やデータの平均化によって改善してきた指問題などは、どういう状態にあるのか、確認し、そこをマージ等で補うことで、より理想形に近づけると考えている。
いずれ、各国でバランスの良いマージモデルに仕上げる人たちが生まれて活性化するだろう。
もちろん、新たなデータでどういうクオリティが出るのか。既にcafe-insta系のデータだけで学習量としては十分でそれ以上のモデルを生み出すことはできないのか。
壁を打ち破れるのか。そこはまだ分からない。
当面はデータの癖や、弱点を見極めるところから始める必要があるかも知れない。しかし少し時間をかけて調査する価値のあるモデルだ。

そして、来たれ。新たなる実写系マージ者よ。
今までを凌駕するマージモデルを誰よりも先に生み出せるチャンスが到来している。
私はchilled_remixシリーズも出し、検証したいこともあるので、BRA(Beautiful Realistic AsiansV4モデルの調査を楽しみながら、実写系マージは一旦ひと段落したいと思う。
あまり続々とモデルを出しても付いていく側も大変だろうし。

だから私から言えることはただ一つ、現時点で唯一無二の存在たるPleaseBanKai(@PleaseBanKai)氏のフォローと応援をお願いしたい。
実写系AI界隈をステップアップさせる最大の存在だからだ。

4.最後に

　現時点ではBRA(Beautiful Realistic Asians)はDreamlike Licenseの悪夢を継承してしまっている。しかしそれでもライセンスの遡及適用に絡み、chilloutmixの制限は乗っていない。だから10人以下のチームなら商用利用も可能だ。一方でマージは少し待つべきだろう。
BRA V3をマージしたchilled_remixrも公開は停止している。

Dreamlike Licenseは、爆弾だからだ。それも遅効性の。
ここ数日で改めてライセンスの怖さと、熟読の必要性を痛感させられた。
今後ビジネス利用を考えるならば、これらはしっかりと理解しなければならない。
実はSD2.1にも爆弾Licenseモデルがあったり、Fair AI Public License 1.0-SDはライセンス制限追加不可の為、ライセンスに制限が追加されているモデルとマージした場合、矛盾が発生する為に公開できないという厄介な問題もある。モデルをマージし、公開する方は今一度それらに目を通してほしい。

また商用利用可能にすることを批難する声もある。
しかし画像生成AI技術は個人の自己満足で終わらせていい技術ではない。
端的に言うと自慰の道具ではないのだ。

日本は『技術で勝ち、マネタイズとロビー活動』で敗北した過去を何度も経験している。金になれば人は動く、人が動ければロビー活動で会社が動き、社会が動く。
そしてそれが結果的に基礎根幹技術を持つ(SD1.5はrunwayml公開ながら)、StabilityAiの価値を高め、より発展させる一助となると私は考えている。

ブルーオーシャン戦略という有名な言葉がある。
そして生物がいない透明な青き死の海へ数多の企業を送り出し、ビジネスを失敗させた呪いの言葉でもある。
キャズムを超える前の、未開拓の地を開墾するのは大変だ。
脱落者も大量に出て、その屍の上に道は作られる可能性がある。その屍が栄養となり肥沃な大地となる可能性がある。
ただ、それでも前進しようとする意志を、私はAI実写界隈に感じた。

だから私は商用利用可能なモデルを可能な限り、提案する。
StabilityAiの理念に敬意を払うと当時に、巡り巡って、私の求める技術に繋がる道だと思っているから。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
そして、ご協力いただいた方々には改めて感謝を致します。
本当にありがとうございました。

PS:AI生成画像界隈の発展を願って、この記事を投稿するものである。