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陸でも10時間以上生きられるサメがいる

サメマニアの「めかぶ」(@shark0037)さんが、全身全霊をささげて描いたサメ図鑑『世界のサメ大全』ができました。125種のサメをすべてイラストで解説していて、 サメ雑学も満載の一冊です。この連載では、その中から選りすぐりのサメを1匹ずつ紹介していきます。今回は、ズングリ体型がかわいい、シロボシホソメテンジクザメを紹介します。

提供:SBクリエイティブ

シロボシホソメテンジクザメ

もっちりしたズングリ体型を堪能せよ!

 シロボシホソメテンジクザメは、ずんぐりした体型で、非常に発達した鼻弁がある。底生で夜行性。生命力が強く、水上でも10時間以上生きていられるとされ、引き潮で取り残されても、ある程度は生存できる。水上では目を守るために、眼球を収納することができる。

 近縁種のアオホソメテンジクザメとの区別は、体に斑点があることや皮歯が大きいこと、第1背ビレ、第2背ビレと胸ビレ、腹ビレが、それぞれほぼ同じ大きさであることでできる。

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めかぶのヒトコト
ずんぐりムックリで黒っぽい体に「星」がいっぱい散ったようなかわいいサメ。吻の丸い感じも癒し。サメと「星」が見たい人は、シロボシホソメテンジクザメを見にいこう。

こぼれ話
アゴの力と吸引力が強いので、一度咬んだらなかなか離さない。

■DATA
テンジクザメ目ホソメテンジクザメ科
学名:Brachaelurus waddi
全長:最大120cmほど
捕食:エビやカニなどの甲殻類や小型硬骨魚類、イソギンチャクなど
繁殖:無胎盤性の胎生。7~8 匹ほどの仔を産む

潮だまりを含む潮間帯や、水深70m ほどまでの大陸棚上など
西太平洋海域のオーストラリア沿岸など

【サメ雑学】サメの歯は一生で3万本生え変わる

 人とは異なり、サメの歯はいくらでも生え変わる。人の歯は、歯根によって支えられているが、サメの歯には歯根がなく、歯茎に埋まっているだけだ。つまり、歯は骨の表面に載っているだけなので、ベルトコンベア式に内側から外側に向かって、生えては抜けるを繰り返す。

 生えるスピードや本数は、サメの種によって違うが、一生に約3万本は生え変わる。これは1週間に1度、早い種では2~3日に1度という頻度だ。

 歯の形は、ホホジロザメが口を開いたときに見える、三角形で鋭い歯のイメージが強いが、それぞれの種が食べる餌によって変わってくる。

・押しつぶす歯
ネコザメなどが持つ、平らで薄い歯。ウニやカニ、貝などを前歯で押さえ、後歯の平たい歯で押し、すりつぶす。

・三角形の歯
ホホジロザメなどが持つ、ふちがギザギザしたナイフのような歯。噛みついた獲物の肉に歯を食い込ませ、頭を左右に振ることで切り裂く。

・突き刺す歯
ミツクリザメやアオザメなどが持つ、「太い針」のような細くて長い歯。動きがすばやい獲物をこの歯で串刺しにして捕獲する。

・切る歯
イタチザメなどが持つ、ノコギリの刃がついた「缶切り」のような歯。ウミガメの硬い甲羅なども砕き、頭を左右に振ることで切り裂く。

・引っかけて押さえる歯
ネコザメやホシザメなどの前歯。ウニやカニ、貝などを押さえつけて捕獲する。

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著者:めかぶ
大阪府出身。奈良芸術短期大学グラフィックデザインコース卒。高校時代からデザインを専攻し、現在はフリーランスのイラストレーター。「絶滅した」といわれるメガロドン(サメの一種)の記事に偶然出会い、古代ザメに関心を持ち始め、サメの虜に。小さなころから水族館が大好きで、今でもサメの水槽から動かず、ずっとサメを見ているタイプ。サメグッズやサメ関連にも弱く、すぐ買ってしまう。1番好きなサメはシロワニ(強面だから)。2019年には、海とくらしの史料館開館(鳥取県)の25周年イベント『サメ祭』でポスターやチラシのデザインを担当。

監修者:田中 彰(たなか・しょう)
1952年、神奈川県生まれ。1975年、東海大学海洋学部水産学科卒業。1980年、東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。同年より本学海洋学部水産学科に勤務し、1994年から教授、2014年から大学院生物科学研究科長。1990~1991年に、米国ウッズホール海洋研究所の訪問研究員として、海洋動物の行動調査を行う。専門は海洋動物学、保全生態学、特にサメ類などの高次捕食者の生態、生活史の研究。駿河湾を眼前にした海洋学部のメリットを活かし、深海に生息するサメ類の研究をライフワークとし、そのほか熱帯の河川に生息する淡水産サメ・エイ類の研究を世界の未開な地域で行ってきた。国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会サメ専門家グループ、日本水産学会、日本魚類学会、日本板鰓類研究会などに所属。著書に『美しき捕食者 サメ図鑑』(実業之日本社)、『深海ザメを追え』(宝島社)など。