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シン・ゴジラのモデルになったサメは泳ぎが苦手

サメマニアの「めかぶ」(@shark0037)さんが、全身全霊をささげて描いたサメ図鑑『世界のサメ大全』ができました。125種のサメをすべてイラストで解説していて、 サメ雑学も満載の一冊です。この連載では、その中から選りすぐりのサメを1匹ずつ紹介していきます。今回は、映画「シン・ゴジラ」のモデルにもなったサメ、ラブカを紹介します。

提供:SBクリエイティブ

ラブカ

妊娠期間は世界でイチバン長い約3年!

 ラブカは、原始的な特徴を残した姿から、「生きた化石」と呼ばれている。頭をくねらせて泳ぐ姿や、細長い姿から「ウナギザメ」ともいわれる。

 歯は三つ又状で、300本ほど生えている。アゴはほぼ固定されているので、現代のサメのように口を前方に突き出すことができず、咀嚼することも苦手とされている。泳ぐことも得意ではない。妊娠期間は3年ほどで、世界でいちばん長いといわれている。

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めかぶのヒトコト
ラブカは古代ザメの「クラドセラケ」と似ているといわれている。古代魚が好きな私からすると魅力的でステキ。

こぼれ話
泳ぐことが苦手なのに、速い動きのイカを捕食しているという謎がある。

■DATA
カグラザメ目ラブカ科
学名:Chlamydoselachus anguineus
全長:1.5~2m弱
捕食:深海の硬骨魚類、頭足類など
繁殖:卵黄依存型の胎生。2~15 匹ほどの仔を産む

水深50~1500m ほどの大陸棚や大陸斜面
太平洋、インド洋、大西洋から熱帯まで幅広い

【サメ雑学】子宮の中で胎児が共食いするサメもいる

 サメは一般的な魚類と違い、交尾により繁殖する。出産方法は2つに分けられる。産む卵の数や子の数は、種により異なる。

1)卵を産む卵生:約4 割がこのタイプ
2)体内で子を育てて産む胎生:約6 割がこのタイプ

 2)の胎生は、大きく3つのタイプに分かれ、子の育て方がそれぞれ大きく異なる。

a)胎盤型
母体の胎盤からへその緒を通じて栄養を得て、育つ。

b)卵黄依存型
母体から栄養を得ず、自分の卵黄のみで育つ。

c) 卵食・共食い型
母体が食用として子宮内に排卵した無精卵を食べて育つ。また、無精卵とは別に、同じ子宮内にいる胎仔を食べて育つタイプもいる。

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著者:めかぶ
大阪府出身。奈良芸術短期大学グラフィックデザインコース卒。高校時代からデザインを専攻し、現在はフリーランスのイラストレーター。「絶滅した」といわれるメガロドン(サメの一種)の記事に偶然出会い、古代ザメに関心を持ち始め、サメの虜に。小さなころから水族館が大好きで、今でもサメの水槽から動かず、ずっとサメを見ているタイプ。サメグッズやサメ関連にも弱く、すぐ買ってしまう。1番好きなサメはシロワニ(強面だから)。2019年には、海とくらしの史料館開館(鳥取県)の25周年イベント『サメ祭』でポスターやチラシのデザインを担当。

監修者:田中 彰(たなか・しょう)
1952年、神奈川県生まれ。1975年、東海大学海洋学部水産学科卒業。1980年、東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。同年より本学海洋学部水産学科に勤務し、1994年から教授、2014年から大学院生物科学研究科長。1990~1991年に、米国ウッズホール海洋研究所の訪問研究員として、海洋動物の行動調査を行う。専門は海洋動物学、保全生態学、特にサメ類などの高次捕食者の生態、生活史の研究。駿河湾を眼前にした海洋学部のメリットを活かし、深海に生息するサメ類の研究をライフワークとし、そのほか熱帯の河川に生息する淡水産サメ・エイ類の研究を世界の未開な地域で行ってきた。国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会サメ専門家グループ、日本水産学会、日本魚類学会、日本板鰓類研究会などに所属。著書に『美しき捕食者 サメ図鑑』(実業之日本社)、『深海ザメを追え』(宝島社)など。