マーケティング なぜ4Cが重要なのか

マーケティングの代表的な考え方である4Pは有名ですから、マーケティングを学んでいる人なら、ほとんどの方が知っていることでしょう。
一応おさらいすると、Product:製品、Price:価格、Place:場所、Promotion:広告の4つを指し、これらを適切に組み合わせることを、マーケティング・ミックスと言います。

ちなみに、、、

4P以降、新たな考え方として、5P、6P、7P分析というものもあります。People:人、Popularity:人気、Profile:顧客管理、Package:包装、Processes:プロセス、Physical Evidence:物的証拠などを加えたものです。
これについては、僕は考えなくてもよいと思っています。その理由として、例えばマーケティングの教科書として代表的なフィリップ・コトラーの『マーケティング原理』では、わざわざ増やさなくても、これらについて全て述べられています。
また僕自身が講義を行うとき、4Pと4Cを並べて説明する中で、全て網羅できるからです。

話を戻して。

4Pをは、マーケティングの講義ではいわば必須項目ですから、取り扱わないということはまず考えられません。ただし先に述べたように、僕の講義では、4Pと4Cを並べて、しっかりと説明するようにしています。なぜならマーケティングの目的を明確にしなければ、本来の役割を果たせないからです。

それてば、マーケティングの目的とは何でしょう。

・時代で変わるマーケティングの目的
マーケティングの4Pが提唱されたのは1960年のことです。
第二次世界大戦で、アメリカは世界の工場の役割を果たしました。1950年代は、アメリカが最も豊かであった時代でした。しかし戦争需要がなくなり、産業はより多くの人に製品を認知させ、利益を得る必要にさらされます。この当時のマーケティングはマネジリアルマーケティングと呼ばれます。文字通り、企業のためのマーケティングで、いち早く市場のウォンツやニーズを把握するかが重視され、マーケティングの基本的な理論がうみだされました。
しかし利益中心の考え方であったため、しばしば企業の強引な行為も目立つようになり、批判が現れるようになりました。

こうした状況への反省から、この後消費者主体の考え方や、社会全体の利益を考えるソーシャルマーケティングの考え方が示されることとなりました。

・市場の多様化
企業の視点から考えるマーケティング・ミックスの4Pに対して、1993年には、顧客の視点から考える4Cが考案されました。4Cについても以前紹介していますが、再度おさらいします。

4Pに対応するものとして以下のようになります。
Product   Customer value
Price    Customer cost
Place    Convince
Promotion Communication

1980年代は「モノの豊かさ」の絶頂期、日本ではバブル期真っ只中です。ほとんどの人があらゆるモノを所有できるようになりました。その結果、個人消費に加え、サービス消費の割合が急速に拡大しました。そして1990年代に入ると、大量生産大量消費から多品種少量生産へと変化します。つまり、多くの人が「人とは違うもの」や「自分だけのもの」を求めるようになります。
大きな市場を理解するうえで、4P分析は基礎となります。しかし市場が細分化し、ニーズが多様化していく中で、「企業(自分たち)は誰の役に立つのか、どのように役立つのか」といったことを、より明確にする必要に迫られたのです。

・市場競争と4C分析
今日のように、非常に細分化された市場で企業が生き残るには、自社の能力がどのような顧客の価値観に一致するのかを明確にすることが、とても大切になります。これは特に、規模が小さな企業ほど重要です。
例えば大企業の製品であれば、消費者の選択肢が少なく、企業が世界規模のトレンドを構築することが可能です。例として、自動車会社やファストファッションをイメージすれば解りやすいでしょう。消費者はメーカーが用意した製品ラインアップから購入するものを選択します。
特に2000年代に入り、大企業の集中が進む中で、こうした傾向は強まっています。

一方小さな成功例、例えばクラウドファウンディングで大成功している製品にはどのような特徴があるのでしょうか。これらの製品には共通して以下のような点が挙げられます。

自社のコアコンピタンスを明確に理解している。
自社の技術が何をもたらすかりかいしている。
ターゲットを「人」ではなく「価値」として捉えている。
何をもたらしたいかがはっきりしている。

このとき、大企業は機能的価値(品質と価格)による競争を行っていることに対して、小さな例では、情緒的価値を明確にしています。言い換えれば、小さな市場の競争ほど、顧客の視点を重視した考え方が必要になります。

4Pと4Cは同じことを目指した視点の違いでしかありません。しかし、より具体的な顧客満足を明確にすることが求められるようになったことを考えると、最初から4Cの視点で考える方が近道になります。


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