デザインを考える 何をデザインするのか

突然ですが、デザインの話の前に、、、

経営学には、その入口として、大きく3つのアプローチがあります。それは、経済学、社会学、心理学です、
経営学部で教える科目という視点では、更に様々な科目があり、理系からのアプローチもあります。しかし「経営学」とすると、やはり最初に挙げた3つのアプローチが主になります。

その中で、僕は経済学の、特にマルクス経済学派に属します。そのため僕は、自分の専門分野を「経営経済学」と説明しています。経営経済学は、あまりなじみのない言葉だと思います。企業と労働の在り方を考え、資本主義の基本的な矛盾である、資本の支配を解消しようとする学問です。

一般的なイメージから、マルクス=社会主義・共産主義とすると、そもそも経営学と結びつきづらいかもしれません。
しかし例えば、ドラッカーやコトラーは、元々マルクス経済学への造詣が深いだけでなく、大きな影響を受けています。またここで中心となるテーマにしているデザインで言えば、デザインの第一人者であるウィリアム・モリスは熱心な社会主義者であり、マルクス主義者です。

ウィリアム・モリスもそうですが、そもそも初期のマルクス主義者達は、高度な知識人です。当時の高度な知識人は、当然裕福な人達であり、高い志を持った人々でした。またマルクスの思想は、とても難解です。そのためこのような人たちから火がりました。
しかし、マルクス主義は、レーニン主義として世界に広がりましたが、残念ながらその思想は歪められ、スターリン主義のような、軍事独裁へと形を変えてしまいました。


前置きが長くなりましたが、、、


マルクス経済学派の研究者である僕が、なぜデザインについて考えるのか。

それは、社会の在り方を考えるうえで、デザインに大きな可能性を感じたからです。
ところがこれまでの記事で記したように、僕はデザインに対して可能性を感じると同時に、現在のデザインの考え方に、大きな疑問を感じるようになりました。
デザインという言葉の使われ方や考え方が、とても大きな広がりを見せている中で、全てではありませんが、少なくとも僕が接したデザイン業界自体が、デザインの可能性を狭めているように見え、危惧を感じました。

・何をデザインするのか
僕がデザインと関わる使命として、目指すべき社会の実現のために、デザインが果たすべき役割や方法を示したい、そしてその理論と方法を解明したいと考えています。
デザインについて勉強しながら、僕の考えるデザインの役割を、デザインの側から説明しているのがスペキュラティブデザインであり、そこに可能性を感じました。

スペキュラティブデザインについては、一定の理解に至ったと思いますが、自分が求める答えを導き出すために勉強中です。第一人者の本と、色々な論文を読んでいますが、このとき、スペキュラティブ(思弁)デザインとはどういうことなのかという疑問を持ち続けることになります。
そのため今度は思弁哲学の論文を読み、、、と、こんなことをしているので、元々の本はなかなか読み進めることができません。(笑)

しかし、ここでの疑問を考えるうちに、ある言葉を思い出しました。

それは、プラトンの「人間の行動には3つの源泉がある。欲望、感情、そして知識である」というものです。

これをデザインに当てはめた場合、どのように考えればよいてしようか。

製品やサービスを選択することを行動と捉えたとき、欲望のためのデザイン、感情のためのデザイン、知識のためのデザインがあるはずで、これ等を同じ「デザイン」で括ることはできないと考えます。

言い方をかえれば、例えばこの3つの、行動の源泉に照らし合わせたとき、「何をデザインしているのか」を認識している必要があるように思います。

・デザイン理論の方向性
この考察をするにあたり、親しいデザイナーであり、大学で講師を務める友人から、助言を受けました。

スペキュラティブデザインは、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを端とする考え方です。一方、近年のビジネスで活用されているデザイン思考について、実践的な取り組みは、スタンフォード大学、Dスクールが有名です。

この2つの学校は、その考え方や思想が、相反する代表的なものだと教わりました。この違いを勉強していて、僕なりに感じたことがあります。

スタンフォード大学は、やはりアメリカ、極めてビジネスライクてす。一方RCAは、アートの学校で、ヨーロッパ的な思想を感じます。

そこで僕は、この2つの流れを、以下のように認識しました。

Dスクール  即応型、最適解の解答。
OCA    問題提起型、可能性(最大公約数)の解答。。

これはあくまでも、僕のこれまでの勉強、考察から導き出した、現時点での考察です。しかし、経営経済学の視点から、このような答えが導き出されたのも事実です。

だからこそ、「何をデザインするのか」という視点から、目的を明確にするこおで、デザインの可能性を切り開くことができるように思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?