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我が子を育てる「CALM/B1 MIRAGE」

CALMというプロジェクトでは前日設営リハという「設営のリハ」を行い当日には1時間でセットアップと各種機器の接続をし客入れをするという文化的運動会のような公演を行う。初年度、本当に実現できるか…と不安もあったが短い時間でものすごくチームワークが磨かれて2年連続大成功している。この公演では100席のみの小さな演奏会ではあるが、密度高く今までにない体験を生み出そうと毎年色々な工夫をしている。すでに2回目にしてチケット即完売というありがたい状況にまで育ってくれている。

B1 MIRAGEもCALMの位置付けに近く弊社プロデュースのコンテンツとして、先日デビューし一夜限りの地下ギャラリーを開いた。結果的には雨天にもかかわらず600人以上の来場を記録し、6時間のみの開場だったので100人/時という結果だった。無料だったり条件は違うが若手映像作家の展示でこの数来ていただけた結果は少しでも作家の認知に繋がったかと思う。繋がってほしい。

どちらもOKAZAKI LOOPSだったり、岡崎明治酒場と両方とも京都の岡崎を舞台にしており、本当たまたまだけれどコンテンツプロデュースの挑戦は岡崎で巻き起こっている。結果、もうだいぶ岡崎のことが詳しい。

これら2つのプロジェクトは音楽とアートという文化的な試みである。というのも、基本的には受託で仕事をしているので依頼に対して制作物を納品して行ったり、課題解決の戦略やアイデアを渡していく。こういう仕事をしているいる中でイベントだったり、サイトだったり、パンフレットだったり、映像だったりと様々な制作物を手掛けるが、納品後は僕らの手を離れていく。少し寂しい気持ちがどこかにあった。

だったら、自分たちで育てることができるコンテンツを作ればいいんじゃないか。そう思って最初に挑戦したのがCALMである。図書館という音を出してはいけない静寂な空間で演奏会をする。かつ、その音は読書体験や図書館での体験と相互に響き合っている必要がある。という縛りがある。初年度は音楽と本の文通?音通?を行い、そこで生まれた音を演奏してもらった。2年目はアーティストが図書館の棚ごとにインスピレーションを得て、一節を栞にし、図書館の無数の本に散りばめた。終演後、検索システムで吐き出されたレシートを頼りに偶然の本との出逢いを演出した。

B1 MIRAGEは今後、B2とか進化を予定しており、これは普段使わない地下空間を別用途で限定的に利用するという縛り。かつMIRAGE<蜃気楼>という言葉をぶら下げているのは永久的にそこにはない。もしかしたら本当はなかったかもしれない。そういう少し怪しげな空気を帯させている。これは場所に縛られず地下空間であれば、このコンテンツはどこでもインストールできる子に育てたいと思っている。

もしかしたらCALMは図書館だけではなく、森や湖畔、どこかの原っぱかもしれないし、様々な場所で展開されるかもしれない。まず静寂の主が居座る場所であればこの子はどこへでもいける。

Bシリーズは地下空間と暗闇が支配する場であれば、どこへでもいける。
今回は85年一般の方が入ることができなかった美術館の地下倉庫という最高の文脈を持った場所でデビューすることができた。今後、もしかすると利用が少ない地下駐車場や地下道、もしくは地下のインフラ施設といった一定の闇の濃度が高い場所に立ち上がるかもしれない。

静かな子と暗い子、あともう一人騒がしい子を生み出したい。
そして、その子達を育てて大きな祭りがしたい。普通じゃないやつ。
受託だけじゃなく自社コンテンツでどういう結果を残せるか、100人から600人。どちらも1日の試合結果。次は1000人を目指す。

頑張るぞー!育てるぞー!

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。