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ホットパンツおじさん1号2号の憧れる佇まい

仕事の帰り、電車に乗っていると同じ会社の同僚なのか、ちょっとくたびれて帰るサラリーマンが会話をしていた。二人とも疲れた顔をしており「毎日同じこと繰り返してる気がしてさ〜」とため息混じりに肩を落としていた。果たして何の仕事なのか答えもわからないまま僕は先に降りた。

家路に向かう交差点で赤信号を待つと、ズイッと僕の前にホットパンツを履いたおじさんが割り込んできた。もう異様である。足の毛は全剃りでツルッツルなのに髪型は白髪混じりのおじさんだ。その驚きの最中僕は「(二人目だ!)」と心の中で叫んだ。そう、この街にはホットパンツおじさんが二人いるのだ。

もう一人は黒髪で顔の系統も違う。このホットパンツおじさん2号は白髪多めの髪短め。この近隣だけで二人もいるのだ。見た目もインパクト大ながら、目を見張るのが姿勢の良さ。歩き方も綺麗なのだ。より一層異様さを増しているのであるが、彼ら(彼女なのか)に迷いの表情はない。胸を張って生きてる感じが清々しいウォーキングなのだ。

電車の中で聞いたサラリーマンのため息とホットパンツおじさん1号2号で飲み会させたい。いや、合コンになるのか?そこに一体どういう学びがあるのか気になった。多分、想像以上に得られるものは多いのだろうと思う。僕もサラリーマンも。

それに比べて、同じ毎日なんてむしろ無さすぎて疲れが出ている自分は幸福なのかもしれない。今までになかったアイデアをと求められ続ける大変さをサラリーマンはどう思うのか。それはそれでしんどいねと酒を飲み交わすのかもしれない。

大変だ、大変だと言ってる間はガキみたいなものなのかもしれない。
ホッパン1号2号は、そんなことよりももっと人として自分として大事なこと(他人には理解されないかもしれない物事)を選んで生きているのだ。何か得体の知れない決断や苦労がある気もする。じゃないとあんな綺麗で堂々としてウォーキングはできないだろうと思っている。

毎日が違う日常に自分らしさみたいなものが確立できてない自分は、まだまだ青二才なのだろう。ホットパンツは履きたくないが、ああいう気配や空気や佇まいだけで自信が溢れるおじさんになりたいなと思う。見た人にしかわからないと思うけど。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。