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3,650日のお散歩

京都は桜満開の時期が早々に過ぎ去り、例年より暖かくなるのが早いなと見知らぬ老人の隣で二条城のカモを眺めている。今日は金曜日。週休3日テストの1発目にもかかわらず、金曜日休みにしたことを忘れて打ち合わせ、みっちり入ってた。何してんねん。

桜の花びらが舞い、空は青空。100点満点の春だなと思い事務所まで歩く。
そう、僕はよく歩く。地元が北海道ということや、バスが1時間に1本とか残酷なほど田舎な世界で育ったので、だったら隣町まで歩けば良いという発想が根強く残っている。京都はどこまでも歩いていけるコンパクトな街で大学在学の頃から考えると地元の北海道より京都にいることの方が長くなってきた。

ブラブラあるく御池通も、ボーッと眺める二条城も15年以上も前の学生時代に見ていた風景だ。あの時の自分と、今の自分。何か変わったかな?と考えたけれど、少し老け込んだくらいで学生の頃から老け顔だったのであまり大差はない。大酒飲みだし、よく遊ぶ。小学生だったら健康優良児扱いだろう。体も心も壊さずに37歳のおじさんまで歩んでこれた。

なんと今年で起業して10年の節目だ。ぬえでは5期目に突入する。その前のオバケも5年なのでまるっぽ10年。日数にして3,650日。日数だけは遠いところに来たなと思う。でも、こうやって今日も休みなのに打ち合わせだらけなのは何か困っている人が頼ってくれていたり、一緒に作りたい仲間がいたり、そういうものの積み重ねで忙しい。最近は忙しいことを恥じないようになってきた。ありがとうとも違うし、ごちそうさまでもない、なんか不思議な感情だ。

この10年、というか大人になって健康診断を受けるようになってからオールAな上に身長も伸び続けている。心も健やかで淀みなし。あの量の酒を飲んでも肝臓元気。あの本数タバコを吸っても肺は新品同様らしい。

こうやって健康で楽しくここまで歩いて来れている奇跡を感じるし、破産もせずになんとか生き延びてるのは奇跡以上の何者でもない。古くから僕を知る人は驚くだろう。お前に経営なんてできるのか?って、できねーよ。笑

でも、こうやって今この場所に立てているのは、一緒に笑い合える仲間がたくさんいたり、お前には勝てねーわって作り手が無数に至り、打ち合わせ終わりに飲みにいきましょってツレのように誘ってくれるお客さんがいたり、家で待ってる妻や子供たち、猫たちがいたり。本当、この人たちのおかげで僕は今ここにいる。

ブラブラと散歩しながら、この散歩は気持ちよく偉く遠いところまできたものだとも思うし、となりにあなたがいてくれたことで今日まで続いてきた日々があるのだと思う。僕は一人ぼっちが大の苦手て、誰かと遊んでいたいし、とても感動することはすぐ誰かに言いたい。それはいつも妻や飲み友達が受け止めてくれるのだけれど、1人だったら多分ダメだったと思う。

どこの点がきっかけで今日につながる道ができたのかはわからない。
でも、今日に至る中でたくさんの人と歩いてきた。その一つ一つが今の道へとつながっていることは明確にわかる。

そう考えると、今日という点がこの先どういう未来につながっていくのか楽しみでならない。10年の節目でもあるけど通過点でもある。僕はどんな未来に流れ着くのだろう。10年後の47歳にはどんな仲間と出合っているのだろう。そう考えると、今日もあしたも明後日も。どのような日々も愛おしく輝いて感じる小さな未来だなと思う。

どうかこの散歩が良き旅になりますように。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。