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反復横跳びの成長論

「先のことを想像してる人間か、今のことだけ向き合う人間か、君ならどうありたい?」と学生の時、飲み屋で知り合ったどっかの社長に問われた。
「先のことじゃないすか?」と僕は答えると「半分正解!半分間違い!」といわれる。なんやねん!と思ったけど、その人の答えは「両方反復横跳びが正解!」だった。

この二つは今までいろんな若者を見てきて思ったことらしい。
先のことだけ考えてるのは例えば、音楽をやっていていつかステージに立ってモテるんだ!ってやつは大体ステージにすら立てない。
今のことだけやってる子は、他の子とやってることが同じで無個性になる。教科書以上の存在にはならない。

なるほど。説明されるとすごいわかる。2割が先のこと、7割が今のこと、1割が両方をやる。らしい。この1割は学生の時点で将来何かしら成し遂げる土台がある。人生は地続きで今の繰り返し積み重ねでもって実態をなしていくから。

もし1割の反復横跳びできるバンドマンがいたとしたら、ステージに立ちたいという先を見て、まずは練習だといってスタジオに入る。仲間を探す。ライブハウスやクラブに挨拶回りするっていう今何をすべきか行動できる。それを達成するとまた先を見る。次は音源を出したい。じゃあ何をすべきかって感じ。

もし1割の反復横跳びができる学業に専念してる学生がいたら、今学んだ知識は何の分野に繋がるかと先を見る。知識の裾野を広げていって本では書かれていないことがあれば専門家に会いにいく。自分で集めた知の複合体系でこれを何に生かすべきかと先を見る。

これを教えられたのは20歳くらいのまだ日本酒の味もわからん時だったけど、とても勉強になった。人間的なことを学べる場所は大学ではなく夜の街にあって、色々な先生(酔っ払い)たちがいてくれた。このおかげで、今も反復横跳び的な生き方をできている気がする。よしこれで来た。これを得た。これを使って何をすべきかとスッと目線を前にあげる。

なんか驚くほどシンプルな成長論だけど35歳になった今も腑に落ちて続けている。定期的に先を見て、この一年で何を得たのか、それを次何に生かすのか。この前やったことを繰り返しても意味がない。そこで得た武器を研ぎ澄ませていかないといけない。

こういう思想もあって、僕はやたらと飽き性だ。一度やれたことはもう2度やりたくない。得るものはお金ぐらいで、経験は増えない。なので常に新しいものを、新しい挑戦を欲する。来期は今期の経験を研ぎ澄ませてすごい鋭利な武器もあれば、巨大な鈍器みたいなものまで振り回していきたい。そうやって常識の壁をぶち壊していくことが一番の快感だ。

今は先を見る時間。明日の自分は、来月の自分は、来年の自分は、何を成し遂げているか。もっと遠くまでいきたい。

いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。