女という被害を乗り越えるためのカウンセリング-16

精神疾患を持っている人は、外の人からは全くそう見えなくても、心が危機的状況になっていることがよくある。

仕事中、案内の冊子にチラシを挟み込んでいると、喉の奥から何かが込み上げてきて吐き出しそうになり、目の淵に溜まった涙を拭うためにデスクの上にあるティッシュを乱暴に数枚取った。手元のスマホを何回もスワイプさせ、メールの返信を確認する。10分ほど前にカウンセラーにメールを出し、緊急で面接を入れられないかと伝えたのだ。15分後に返信が来て、予約が取れたのを確認してから上司に早退したいと伝えた。仕事の報告をしてガタガタと大きな音を立てながら自分の席を立ち、ロッカーから黒のバッグを取り出すと、自転車を一旦自宅に置くために、マンションに向かう。自転車置き場についてから、息をつく暇もなく、急いで駅に向かうが、足が思うように動かない。囚人のように足に鎖と鉄球がついているようだ。重たい足を前後に動かし、なんとか電車に乗り、目的地にたどり着く。約束した時間ぴったりにカウンセリングルームに辿り着くと、カウンセラーはいつもと同じように「麦茶と緑茶とお水、どれがいいですか?」と質問した。

「麦茶で」

喉の奥から搾り出すように声を出した後、紙コップに注がれた液体を喉に流し込む。一息ついて、どこから話そうか逡巡する。目を空にやって、頭の中を整理してから口を開く。

ここから先は

2,993字

¥ 100

いただいたサポートは自分が落ち込んだ時に元気が出るものを購入させていただきます。だいたい食べ物になります。