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Q. 作曲家の仕事の失敗談が聞きたいです。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。

このマガジンは、毎回質問形式で作曲家の仕事に関する記事を書いていきます。一般論はどこでも手に入るので、ここでしか読めない僕の経験からの答えを書いていこうと思います。(自分で質問つくってます)

【質問】
最近、仕事で失敗したことを教えてください。

事務所に入らず一人でフリーランスやってると、自分の仕事のミスに気づきにくいです。たとえば「締切日を忘れていてすっぽかした」とか、「打ち合わせがあるのに忘れてた」とか、そういうのだと自分で気付けるのですが、クライアントの担当やディレクター・プロデューサーなどがこっちのミスを指摘してお叱りを…みたいなことはマレです。作家事務所に入ってると先輩や社長、マネージャーが「あれはよくないよ」「もっとこうしなきゃダメ」って指摘してくれるかもしれませんが、無所属の野良フリーランスは一人で仕事してるのでそんなことを言ってくれる人いないです。自分のミスは自分で気付くしかないです。

依頼された音楽を納品したら「いい音楽をありがとうございました」って必ず言われますが、それがクライアントの本心かどうかはわかりません。社交辞令の可能性もあります。裏では「全然思ってるものがあがってこなかったね」とか「すごく仕事やりにくかったね」って思われてる可能性があります。実際、僕が誰かに仕事お願いした時、イマイチなものがあがってきても「いい感じですね。ありがとうございます!」って返信することもあります。ごくごくたまにですけど。だから僕も絶対に思われてるはずです。

制作してる時の「修正依頼」は、依頼内容と違う間違ったアプローチの曲を作ってしまうミスの場合と、方向性を確認しながら制作する過程なだけでミスでない場合があると思います。

例えば音楽プロデューサーやサウンドディレクターと仕事する場合は、プロデューサーがクライアントと擦り合わせた方向性があるので、そこに寄せていくために修正依頼を出されることもあります。あるゲームのために複数の作曲家が音楽を作ってる場合は、他の楽曲とのバランスなどを見ながらサウンドディレクターがそれぞれの楽曲の方向性や加減を調整していく必要があります。仕事でミスをしたから修正なのではなく、全体のトンマナを合わせるために細かい部分の修正をお願いされます。作曲家は全体の中の一部しか見てないので、全体を監督してるサウンドディレクターが調整役になるわけです。だからこの場合は、修正依頼がきたからと言って失敗と感じなくてよいと思ってます。(無視したり自分の意見を通すと全体のバランスを壊すことになる)

お願いされてるのが明るい曲なのに明るくない曲を作ったり、アップテンポな曲をお願いされてるのに盛り上がらない曲を作ってたら、それは失敗だと思います。まぁ、それは気づきますよね…

余談はここまでにして、ここからは僕が最近しでかした失敗の話です。3つ取り上げてみましたが、どれも不注意です。怠惰です。こんなことをしていたら仕事がなくなるので、注意深く仕事すすめなきゃと思います。

ということで、例を3つあげますね。


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