はなぢ北条海岸2

憧れを捨てて、生きていく道を探す。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。

僕は音楽の仕事はじめて25年目、音楽はじめたのは大学一年の頃。未だに楽譜読めない・コードわからない・楽器弾けない・理論わからない。音楽の仕事するなら、なんとなくでも譜面は読めて、軽くでも楽器が弾ける方がいいに決まってる。でも、僕はずっとサボって何もしてこなかった。とにかく努力が苦手、積み上げることが苦手。いかに「やらずに」出来るようになるか、自分を肯定するかばかり考えてました。というか、未だにそれです。

一日15分でもいいから鍵盤の練習やってたら今頃、「こんな感じの曲どうですか?」みたいな感じでサラサラっと人前で弾けたのかもしれないです。ボーカルレコーディングの時、単音ですら自分のつくったメロディーが弾けません。

僕はもともと、シンガーソングライターになるか、アイドルに楽曲提供したくて音楽はじめました。その道で食えればいいなー、どうすればいいかな?って思う前にゲーム業界で音楽の仕事がはじまりました。ここで最初の大きな妥協。「音楽の仕事」で食べていくためにやりたかったことを捨てました。(というか、そこまで真剣じゃなかったんだと思います)

まぁ、仕事やっていくとゲームサウンドの仕事は面白くなっていきました。京都にいた最初三年のフリー時代はアホほどのめり込みました。むちゃくちゃ沢山のゲームソフトが世に出ました。でも、一日中ずっと仕事やってるのがイヤだったので定時をまもるような仕事の仕方でした。おかげで仕事のスピードがむっちゃ早くなりました。早く仕事切り上げたからって、仕事が溜まっていく、こなせないのはイヤだったので仕事はしっかりやりました。これはその後、ゲーム会社で社員として働いた時もそうでした。誰よりも遅くきて誰よりも早く帰る。徹夜で泊まりが当たり前だったゲーム業界にいながら、それを拒否してました。「これが当たり前」って言われるのもとにかくイヤでした。

仕事してるとだんだん悩みが深くなっていきます。「あれ?もう引き出しないぞ?」「同じようなものしか作れないぞ」「むちゃくちゃ打ち込みヘタなんだけど...」。どんどん世の中の広さを知るのです。自分に能力がないことに気付くんです。(もともと自分の評価は高くなかったけど)そりゃそうです、何も勉強してきてないんですから、、、努力しないで何かが出来るようになるはずがありません。

仕事依頼があるので、だましだまし毎日曲を書きます。聞いた事ないようなジャンルの曲もたくさん書きました。でもやがて、浅く広くいろんなジャンルの仕事をしてるのがイヤになってきます。世の中にゴミをたくさん残すのはイヤだなぁ、、、こんなクオリティー低い曲を量産して、同業者に知られたら恥ずかしいなぁ、、、(今も恥ずかしいけど)

「たとえば、何をしたら僕は人より優れたもの作れるんだろ?」って考えました。とにかく正攻法では「いいもの」が作れないんです。それどころかベーシックなものも作れないんです。音楽の基礎も全くないので。

普通の人なら、そこで「よし、ちゃんと基礎を身につけよう」と思うんでしょうけども、僕の場合はサボりたがりなのでラクな方法を探しました。

今の自分を肯定できる要素、、、、

そこで「好き勝手にラクガキするような感じの曲を武器にしよう」「下手なアンサンブルって需要あるはず」と思いつきます。音楽勉強してる人は、ちゃんと音楽作りたいはず。そういうひとは「ヘタなフレーズ」とか「間違ったこと」やらないはず、やりたがらないはず、プライドがあるから。ちゃんと音楽つくれないので、「インチキな音楽のホンモノをつくろう」とワケわからないことを決心します。「間違ってても音楽性には関係ない!」って言い張ろう。今の僕の音楽のコンセプトはこんな感じで決まりました。消去法です。頭悪いですねw

それまでは、新しい音楽を世に放ち時代を変えた小室さんとか、SMAPで狂ったアレンジしてたCHOKKAKUさんとか、そういう人に憧れてました。でも、努力することなく簡単に捨てました。努力が苦手でサボりたがる僕だから。挫折って感じでもなかったです。だって努力したわけじゃないから。

ぼくは「勉強して点取れなかったら損だから、勉強しないでおこう」ってタイプです。仕事でもそんな感じ。だから未だに出来ないことだらけ。アカンですね。

そもそもピアノすら習ってなくて、音楽教育費ゼロ円の僕にとっては、音楽で稼げてること自体がラッキーだったのです。何をしてもプラス。損することは一つもない。だから野望みたいなのはあんまりなかったと思います。売れなきゃ!みたいなハングリーさは、あんまりなかったです。

努力しないで、努力できる方法ってなんだろ?って考えて、すぐに答えでました。そういうのはすぐに思いつくんです。興味があることだけやっていけばいいんです。「努力する」って感じるのはイヤイヤやる、やらなきゃイケないって思うからってことに気づきます。一年前に箕輪厚介の「努力は熱狂に勝てない」って言葉を聞いて、「あー、これこれ」って思いました。(都合よく解釈)

興味あることってどんどんやるし身につくんですよ。音楽の仕事はじめて一年目くらいの時に、いろんな音をサンプリングしては、どうやってレートを落としたら聴感上音質劣化が防げるかとか、劇伴の仕事がきた時は、映像にいろんな音をのせて、タイミングをずらしたりして、どういう効果が得られるかってのを試してみたりとか。それは全部、仕事依頼が来てから勉強したこと。仕事くる前って必要性がわかんないし、それを勉強したところで何も形にならないから気が乗らない。僕はこだわらないところむっちゃ多いんですけども、ごくたまにすごくこだわって熱心にやることもあって、、、まぁ、でも集中できるのって1時間くらいとかなんですけども、それ以上できないからそこに賭けるしかないって感じで。

未だに、仕事に集中できるのって頑張っても一日2〜3時間です。すぐイヤになってYouTubeみたりラジオ聞いたりします。まぁ、そのイヤになった時間にnote書いてたりするんですけど。

僕はいろんなことやってるように見られること多いですけど、ここ2年くらいの僕は、いくつも自分プロジェクトをはじめて、その時やりたくなったことを選んでやってます。これが一つのプロジェクトしかなかったら、それに興味がなくなったらおしまいです。自分の性格がわかってるからこそですね。人付き合いも苦手であんまりマメに人に会わないけど、ネットだと家でボーっとしながら色んな人と繋がりもてるので、そっち優先にしちゃいます。ただ勝手に空気読まずどんどんツイートするのは苦じゃないけど、リプとかDMに返事とかはめちゃくちゃ苦手です。気が乗らないと返信止まってしまいます、、、(すみません)

クリエイター作戦会議で定期的にいろんな人と会ってますけども、あれはお金をいただいてるからスイッチが入るんです。人前でいろいろしゃべらなきゃって。このnoteもお金いただいて書いてるので「続けないといけない!」っていう責任感から頑張れてます。というか、ここで書くことって日常のことか、過去の自分のことを書くだけなので作曲と違って全然大変じゃないです。

僕はずっと音楽の仕事してきたので、それ以外の仕事が全くできません。なので、なんとかこの仕事を続けなければいけません。才能なくてもやらなきゃいけないのです。そこは必死のパッチなのです。なので今の自分が持ってるものが何なのか、ちゃんと向き合って「憧れとか夢」ではなく、現実を見ながら仕事のスタンスを決めてます。生きていく道を選んだってわけです。やりたいことしかやりたくないなら、「やりたくないことはやらない!」って宣言すればいいだけっていうことに気づきます。

幸い、
・自分ができること
・やりたいこと
・興味あること
・世の中に役立てること

が一致する場所が見つかったので、ほんと助かりました。今のところ、そのジャンルの仕事が多くてストレスがほぼないです。仕事してみたかった人に会えるし、大好きな芸人さん・アイドルとの仕事も多いし、自分の楽曲にマッチした子供むけ案件も多いし。悪ふざけな仕事で呼ばれることも多いです。最高です!万が一、自分が仕事頼まれてクオリティが出せないのであれば平気で誰かにお願いします。

音楽で食べていけなくてもいいのであれば、自分の好きなことだけをやってればいいし目指してればいいけど、音楽で食べていきたいと思うなら、何かを捨てて自分だけができることを優先するのもいいんじゃないかなと思います。僕の場合、努力しなかったから目指してた道が閉ざされてしまったわけです。(その代わり、違う場所は見つけましたけど)

こんな風に書いてますけども作曲家として苦労するのはこれから先です。まだまだ働いていく必要がありますから。業界にはバケモノみたいに凄い人だらけだし、若くて新しいものを作る人もどんどん出てくるだろうし、歳を取ると発注されにくくなるし、今まで以上に大変になっていくと思いますけども、好奇心でなんとか乗り切りたいと思います。一生、努力はしません!!

ということで、最後にこの曲を聴いていただければと思います。人生とは、そんなもの。


スキャット後藤
www.cutecool.jp

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