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子どもたちは、ただただ楽しむだけでいい

シナリオ・センターは、51年目を迎えます。次の目標はもちろん100年。日本中の『想像力・創造力』を豊かにすべく、「一億人のシナリオ。」プロジェクトは、2021年も粛々と進めております。

そんなこんなで、6月22日(火)から1年間じっくり創作と向き合う『考える部屋』が開講!小学5・6年生、中学生を対象に、これまで取り組んできたキッズシナリオの内容をもとに、彼らの想像力と表現力を刺激していきます。

『考える部屋』はじまりました!

キッズシナリオをじっくりとやりたい!という思いから始まった『考える部屋』。6月22日から開講となり、小学5年生から中学2年生が隔週で参加しています。(以下にその理由を書いてます。タイトル趣味に走りすぎた……)

参加者たちの多彩な顔触れ

今回の『考える部屋』は、はじめての取組みということもあり、参加者は想定よりも少なめの6名でのスタートになりました。とはいえ、実際にスタートしてみると、参加者それぞれの個性ややりたいこととも向き合えるやりやすさがあります。

小学校などで実施している出前授業でもそうですが、シナリオ・センターでは『先生』を名乗りません。創作には正解も不正解もないので、先生と生徒ではなく、あくまで同じ目線で考える仲間という関係性を大切にしています。

そのため、参加する講師も、私は『かずき』、武藤講師は『てっちゃん』、森田講師は『もんちゃん』、唐下講師は『ひろくん』。
参加する子どもたちも、ペンネームもしくはニックネームで参加します。

「『考える部屋』には、先生はいないので、ぼくらはニックネームです。みんなもニックネームかペンネームにしよう」

というと、しおちゃんはすごくうれしそうな表情をしてくれました。
大好きな人形を使った物語を書きたい『ゆい』、
ファンタジーなどの児童文学を書けるようになりたい『YU』、
すでに小説を書いていて『映像研には手を出すな』が大好きな『しお』、
『風の谷のナウシカ』のような群像劇を書きたい『あおちゃん』、
『大豆田とわ子と三人の元夫』にはまっている『あささん』、
濃いキャラクターの作品を創りたい『ビスタ』、
と、目的も個性もしっかりしているメンバーです。みんな意識が高い!

参加者たちに学びの意識はない!?

6回の授業が終了しましたが、彼らからは「創作するのがすき!」「楽しい!」というのが、オンライン越しからでもグイグイ伝わってきます。
いい意味で、学んでいるとかお勉強しているとか、お稽古事のような意識は薄いような気がします。自分が好きなことが、もっとうまくなるにはどうしたらいいのかに興味深々といった感じです。

正直言って、自分が子どものころに行っていたピアノも水泳も嫌々でした。なので、『考える部屋』を始めるときには、そんな風に子どもたちが感じるようなものにはしたくないと思い、講義内容を担当の講師とともに作りこんでいます。

でも、今回の参加者の表情やモチベーションを見ていると、杞憂だったようです。彼らは『考える部屋』をうまく使って、楽しんでいる様な気がします。

キャラクターからじっくり発想

そんな彼らといま取り組んでいるのは、登場人物のキャラクターを考えることです。

まず1回目は、参加者それぞれのキャラクターについてお互いに知り合うワークショップを行いました。
『他己紹介』といって、まったく知らない赤の他人を、すでに知っているように紹介するというものです。これは、講師もふくめて、みんなで実施しました。
『他己紹介』をすることで、お互いのことを知るだけではなく、人それぞれ違うということ、その違いがキャラクター=個性だということ、そして、違うということは創作においても大切だということを伝えていきます。

さらには、いざ物語を書く時には、普段から他人に興味を持つことが創作をする上でも大切なことだよ、と伝えていきます。

2回目もキャラクターにフォーカスを当てていきます。
『河原田権三』という名前と『池田さくら』という名前から、それぞれのキャラクターを想像していきます。

『河原田権三』
酒屋で作務衣姿。「おれは酒一本でやってきた」が口癖で頑固。
政治家でムダにいいスーツ。「島の皆さまのために」が口癖で利己的。などなど。『池田さくら』も個性的なキャラクターがどんどん子どもたちの中で膨らんできます。
そして、子どもたちに『もしもこの二人が駅で出会ったら』という設定で、シナリオを書いてもらいます。ここで大切なのが、セリフやト書に、登場人物ならではのキャラクターが出ているかどうか。

落としたハンカチを拾う河原田。ベッドフォンをして、お礼を言わないさくら。河原田「拾って損した!」と吐き捨てる。
わずかな出会いの一瞬にも、ちゃんとキャラクターがでています。

現役脚本家も驚く発想力

実は、直前体験会に『ちびまる子ちゃん』の脚本でお馴染みの田嶋久子さんが参加してくれました。子どもたちにとってはビックサプライズでしたが、田嶋さんにとっても子どもたちの発想に

「酒を呑ませて言うことを聞かせるとか、最高!こんな短時間で、すごい発想。参りました」

と驚きを隠せない様子でした。
子どもたちの可能性は、大人が思う以上です。彼らの可能性の芽を摘むようなことがないように気をつけながら、楽しい『考える部屋』にしていきます!

って、いうこの記事は、弊社発行『月刊シナリオ教室』で書いた原稿のリライトなのでした。ちょっとズルした。

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