学振作成日記 2.0

今年も学振の時期ですね.2年前にDC1の申請書を書いたときの作成過程をノートにしましたが,その結果報告やその他の諸々についてこの記事に記録しておこうと思います.

概要

Authorについて

  • 東工大理学院博士課程1年(2024.02現在)

  • DC1不採用(たしか順位B,総合評価2 ~ 3点)

  • DC2採用

  • 研究室・研究テーマ:B4の頃から一貫して同じ

  • 主著論文,共著論文:なし

  • 学会賞:DC1時なし,DC2時2つ

  • 奨学金:DC1時なし,DC2時2つ

この記事の目的

  • 自分の備忘録

  • 今後DCの申請書を書く人を対象としたアドバイス

この記事で話すこと

  • 不採用になったDC1の申請書と採用になったDC2の申請書で変更した点を中心に述べる.このような変更をしたために採用された,という主張をしたいわけではないが1つの参考にしてほしい.

  • 学振申請書作成の手順や必要なものなどは以前にまとめており,特に追記もないため述べない.

DC1とDC2の申請書作成の変更点

全体的な話

DC2ではDC1のときの元地があったため文書作成に時間がかからなかった.そのため図の作成などに時間を割くことができた.

フォントの話
DC1
大見出し:游明朝,太字,下線,10 pt,灰色塗りつぶし
小見出し:游明朝,太字,下線,10 pt
地の文:游明朝,10 pt
DC2
大見出し:Noto Sans JP,太字,11 pt,灰色塗りつぶし
小見出し:Noto Sans JP,太字,10.5 pt
地の文:游明朝,10 pt

バージョンの話
    DC1の最終版はver.4.1.1
    DC2の最終版はver5.3.1
こう見るとDC2の方が修正している.

0.1. タイトル

申請書の顔となる部分である.関連分野の科研費などを参考にして以前よりこだわって決めた.

具体的には,
DC1「○○における△△(理論)と▲▲(実験)」
DC2「△△(理論)と▲▲(実験)の××による○○の解明」
DC2の方がかっこよくて気に入っている.

0.2. 審査区分

DC1とDC2で同じだった.

1. 研究の位置づけ

申請書の1枚目であるため,特に図にこだわった.DC1はパワポお絵描きをしていたが,DC2ではブレンダーを使ってそれらしい図を作った.論文雑誌の表紙や各論文タイトルについている1枚絵を参考にした.本研究の強み&特徴であるところの「実験と理論の二人三脚成立していること」を最初の図で強調した.

研究テーマのキーワードは太字・下線で強調した.DC1の申請書では,背景・課題・経緯は分かれていたものの,太字や下線による地の文の強調はしていなかった(どうして…).

自分が新規に開発した理論について名前をつけたことで,新しいことをやっている感を出した.DC1の段階では名前をつけていなかったが,DC2を機に名前をつけた.これによってかなり見栄えがするようになり,新規性の主張もしやすくなった.

申請書のストーリーに統一感を持たせた.DC1の時は,理論的な意味づけと実験的な意味づけを両方書き,その結果それらがうまく嚙み合わずに浮いていた感じがあった.
DC2では,分野全体を俯瞰したときの位置づけとして,大きなストーリーとして理論と実験を位置づけた.その上で課題と経緯を書いた.結局私のやっていることは分野の王道中の王道手法なのでそれをありのまま書いただけともいう.実質的な話をすれば,1年間研究した過程で自分の研究分野と研究テーマを俯瞰的に見れるようになったのだと思う.

2.1. 研究目的・内容等(研究計画部分)

ここでも図にこだわった.タイトルや1枚目の図と対応させて「理論と実験の両立」という性質が明示的に見えるような図を作成した.DC1でもそのつもりで作成していたが,今(2024.02)見返してみるとDC2の図の方が洗練されていると感じる.結局そこは考えあぐねて洗練させていくしかなさそう.

図に関連して,DC1では具体的な装置図を載せていたがDC2ではそれらを省き概念的なエネルギーダイアグラムのみを載せた.これはどっちがよいかは分からない.

自身が主導して共同研究を持ちかけて実施することを述べた.このあたりは後半の主体性の話と絡めることができた.

2.2. 研究目的・内容等(特色・特徴的な点)

タイトルや諸々の図に対応させて,(1)理論部分,(2)実験部分,(3)理論と実験の統合部分の3つに分けて書いた.研究テーマ全体の文脈でそれぞれのパートに新規性と強みがあることを明確に述べた(つもり).
DC1ではそのような書き分けはしておらず,単に1, 2, 3,…という書き方をしていた.また今(2024.02)見返すと,実験部分と理論部分で話が分離しており,全体として何が言いたいのか不透明な感じがした.

2.3. 研究目的・内容等(予想されるインパクト、将来の見通し)

短期的(論文公開時以降すぐ程度の時間スパン)に期待できるインパクトと長期的(10年以上の時間スパン)に期待される見通しの2つの項目に分けて書いた.DC1時点でも長期的な構想はあったが書いてはいなかった.DC2では長期的な構想,言い換えると自分の人生全体でやりたい研究について5行+引用1つくらいをかけて分量多めに書いた.

3. 人権の保護及び法令等の遵守への対応

該当しない.

4.1. 研究遂行力の自己分析(実績)

実績(DC1)
学会発表:3

実績(DC2)
学会発表:7
学会受賞:2
その他受賞(後述):2
奨学金:2
プログラム(後述):1

4.2. 研究遂行力の自己分析(自身の強み)

結構大きく変更した.DC1時では書くことが無いなあと思って,主体性をアピールするために研究の着想などの話を大部分していた.これが多分よくなかった気がしている.そのあたりを大幅に変更した.
以下に示すようにして色々ひねり出してDC1からDC2にかけて実績の数を3 → 14に増やした.実績を根拠にして自身の強みを書くように構成しなおした.結局テンプレのような構成になったわけだが,テンプレ構成の方が読み手も読みやすいので好ましい.

修論執筆段階で作成したプログラムをGithubに公開していた.これのurlを示して実績1つにした.これを根拠にしてプログラミング技術を強みとして書いた.

学部時代に所属していたサークルが学祭で受賞していたことを引っ張り出してきた(その他受賞1つめ).これを根拠に教育能力を主張した.DC1を書くときは昔の話はすっかり忘れていたので全く言及しなかった.

高校時代に最優秀学生として選ばれていたので,それを引っ張り出してきた(その他受賞2つめ).もともとSSH(スーパーサイエンスハイスクール)校に所属しており,その時の研究成果がもとでこの賞を受賞したので,これを根拠の1つとしてコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を主張した.DC1を書くときは昔の話はすっかり忘(以下略)

共同研究を主導で実施することを根拠にして研究の主体性を主張した.

M2のときに運よく学会賞をもらっていたのでその話を根拠に強みを主張できた.

4.3. 研究遂行力の自己分析(今後研究者として更なる発展のため必要と考えている要素)

特に大きな変更なし.

強いて言えば,DC2申請書執筆時に現地国際学会に参加する予定だったのでそれで英語コミュ力を養う予定という話を追加した.

5. 目指す研究者像等

ほとんど修正なし.結構気に入っている.

6. 研究経費とその必要性

今年から新しく追加された.特筆することは無し.

まとめ

今(2024.02)見返してみるとDC1と比べてDC2ではかなりクオリティが上がっていると感じた.第一に図や地の文の読みやすさで,フォント諸々にこだわるのは大事だとよくわかった.

申請書の見やすさはもちろんだが,ストーリーの一貫性が重要であることが分かった.これが私のDC1とDC2の申請書の最大の違いだったと思う.月並みだが,分野全体を俯瞰して自分の研究を位置づけることが大事だと実感した.
DC1時にも自身の研究はほとんど理解しきっているつもりだったが実のところ全く理解が足りていなかったらしい.少なくとも明示的に言語化して示すことはできていない.
学会発表や修論,論文執筆,参考書精読などを通して俯瞰的な視点が身についたのだと思う.特に修論・論文執筆で論理構造を考えあぐね続けて研究テーマを1つのストーリーとして完成させたことは一番効果があったと感じている.これは短期的に身につくものでもないし長期間分野に浸る以外の方法はないのだろう.

以上,DC1とDC2を振り返って色々書き連ねました.参考になったらうれしいです.

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