鼠の葬列

間歇泉の話し言葉が鉄条扉におしこめられた朝
間断ない破壊の少女達が泛び上がる
肖像のレリーフを隈なく駆け巡る奔馬の一小節が
騎兵隊員のカチューシャ型の肋骨へとひろがりそして飛立つ
震える葡萄酢酸と蓚酸の夜のなかで澄みわたり
転げ落ちて行く結核性患者の薔薇色の気息が愛を語るしぐさで
天面には鰈の聖母子像がほほえんでいる
この座礁船の舳先には素面の天秤がありあまる速度をもって
痙攣するミモザの腕に抱えられながら
扁平の球体となってしがみつく
その様は音調の外れた臓腑のようだった!
だが表皮の虱たちが屈伸する
ヴィーナスの窪地、と呼ばれる港湾地にあって
その様はいかにも憂愁に満ちた滑稽性にあふれていたので
私達のヴィヨンを欺きながら去る
退屈な聖母画の継母の継子同士がかたみの脇腹をさぐる様には
全ては上手くはいかなかっただろう
昧爽のラーゲリ達がフットボールの釘に縫留められる
必然は
硼酸と鼠たちに
悲惨な執行猶予をもたらす、
だが明るむような言葉はよしてくれ、
不発弾の鈍鈍と歩んで行く様は
全く以て
プロパンガスの銃剣博士がこしらえた
超音速の弾薬には余りにも不釣り合いだったもので、
思わず滂沱してしまった程だ
頭髪の木賊がもつれあいながら噛み殺すべきユーモア、
それのみが欠けている齧歯類の森の黒い森の花のなかで
狡猾な同情は摂氏265度の音階にくずれながら燃え立ちつくす
表情の海の外、そして内に
乱反射する海豹のサーベルの柄に、その束に
おりかさなり燃えあがりそして硬まる、
菫の炎の火がゆれる以前から
私達は
あらかじめともされていたのだ

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