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母であり、華である

長谷川京子『Just as a flower』

16年ぶりに発売した、40代の長谷川京子の写真集。
日本を代表するカメラマン、沢渡朔さんとタッグを組み、色気を詰め込んだ一冊です。
"家庭のある身でありながら、出会ってしまった不可抗力な恋愛"というテーマに違わず、「母」と「女」を併せ持つひとりの魅力的な女性を堪能できます。

ちなみに私は読み終わった後、なぜか涙があふれてきました。

■おすすめPoint

「色気って相手を受け入れられる許容量のことなのかな。」
巻末のインタビューの本人の言葉です。
自分の器量とやってくる仕事が見合わなかった苦悩の20代、子育てをしながら「いいお母さん」像に惑わされながら中途半端に停滞した30代。
そんな20代・30代を超え、経験してきたからこそ持てるようになった余裕。
今の長谷川京子にしか出せない魅力があり、それが収められているのがこの一冊なのです。

誰かの理想に合わせるために自分の価値を下げるべきではない。
自分の魅せたい一面を見せることにためらいは必要ない。

そんなメッセージを強く感じる写真集です。

■ベストショットTOP3

1,
和室の円形の格子窓の前でシンプルなブラックなドレスをまとい、脚をあげる見開きのページ。
めくれあがったスカートの中から除く美脚。なのに写真集の見開き部分にちょうどかぶって見れるはずのものが見れないというもどかしさも搔き立てているのではないかと思わされます。
髪や肌の濡れ感から見えない脚の部分にも色気を感じる、そんな一枚です。

2,
かき上げた前髪、白シャツから除く胸の谷間。
オトナっぽい恰好なのにカメラ目線で屈託なく笑う彼女。
こんな表情を向けられたら恋人はきっとたまらない。
耳にかかる長めのピアスは、この写真集の様々ななショットでずっとつけられています。彼からのプレゼント、そんな裏設定がもしかしたらあるのでは…?

3,
表紙にもなっている、海をバックに白い布一枚で胸元を隠しただけのショット。
首元につく砂や肌にのった水滴とそれをリアルに見せる写真集自体の髪の質感もあいまって、その視線に引き込まれそうになります。

写真集全体を通して味わえる鍛え上げられながらも"お母さん"を感じるやわらかい質感のボディと夕焼けを反射する海。
「母なる海」という言葉をそのまま表したような一枚です。


表情・ボディ・肌の質感。
様々な部分に女性であることと同時に、「母」を感じさせる。
そしてそのどちらもあってこその自分自身なのだ、という彼女の強いメッセージに心をつかまれる一冊でした。

【プロフィール】
長谷川京子。1978年、千葉県生まれ。女性ファッション誌の専属モデルを経て、2000年女優デビュー。以降ドラマを中心に数多くの映画やCMに出演している。近年の出演作に、NHKドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』や映画『光』などがあり、関西テレビ『グータンヌーボ2』では初めてのMCを務めるなど、活動の幅を広げている。写真集の出版は、25歳以来16年ぶりとなる。

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