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Orange Blossom Special

「オレンジ・ブロッサム・スペシャル Orange Blossom Special」は1938年にアーヴィン・ラウズErvin T. Rouse によって書かれたフィドル・チューン。ブルーグラスのスタンダードの一つ。とっても勢いのある曲。「フィドル奏者の国歌 the fiddle player's national anthem」とも呼ばれる。

だれが作曲したのか?

「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」と聞いても、まず列車を思い浮かべることはほとんどないが、1925年から1953年まで稼働していた同名の豪華列車から着想が得られた。作曲したのはアーヴィン・ラウズで、著作権を登録した翌年の1939年に弟のゴードンと歌詞付きでレコーディングした。他方で、ビル・モンローのバンドにいたチャビー・ワイズは、自分こそがこの曲の作曲者であると主張していた。ワイズの話しは概ね次の通りだ。こちらを元に概観してみよう。

1938年にジャクソンヴィルで豪華列車オレンジ・ブロッサム・スペシャルの展示ツアーが開催された。ワイズとラウズは、オレンジ・ブロッサム・スペシャルを見学するために、深夜にフロリダのジャクソンヴィル・ターミナルに訪れた。オレンジ・ブロッサム・スペシャルに感銘を受けた二人は、この列車についての曲を書こうとワイズの家に戻り、その夜のうちに「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」を書き上げた。

Davis, 2017

ただし、「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」が著作権登録されたのは、この展示ツアーよりも前なのでちょっとこの話は疑わしい。が、少なくともワイズがこの曲を有名にしたことは間違いない。

録音

Bill Monroe And His Blue Grass Boys (Atlanta, GA, October 2 1941)
Bill Monroe (Mandolin); Art Wooten (Fiddle); Pete Pyle (Guitar); Bill Wesbrooks (Bass);
こりゃみんな真似したくなりますわ的な元祖な演奏。改めて聴くとやっぱ好き。

Flatt & Scruggs (Newport Jazz Festival 1966)
ライブ盤のコンピから。クレジットがないためだれが参加しているのかわからないがすごい演奏。とても華がある。

Muleskinner (Hollywood February 13 1973)
Bill Keith (Banjo); Richard Greene (Fiddle); Clarence White (Lead Guitar); David Grisman (Mandolin); Peter Rowan (Rhythm Guitar)
ディヴィッド・グリスマン、リチャード・グリーン、クラレンス・ホワイト、ピーター・ローワン、ビル・キースといったオールスター的なメンバー。くっそかっこいい。

Old & In the Way (San Francisco, October 1 & 8, 1973)
Vassar Clements (Fiddle); David Grisman (Mandolin); Jerry Garcia (Banjo); Peter Rowan (Guitar); John Kahn (Acoustic Bass);
ジェリー・ガルシアとディヴィッド・グリスマンが在籍していたOld & In the Wayの録音。ドーグの萌芽が聴けるような録音。

Bluegrass Family (Luzern, Switzerland 1985)
Jens Krüger (Banjo);Fridpi Bonin (Bass); Chris Kämpf (Fiddle); Theo Hurter (Guitar [Dobro]); Finn Bodenmann (Guitar); Marlies Bonin-Hurter (Guitar); Käthi Bodenmann (Mandolin);
スイスのブルーグラス・バンドの録音。コーラスが入る。これもよき。

Mark O’Connor (Nashville, TN, August 25, 1990)
Mark O'Connor (Fiddle); Brent Rowan (Electric Guitar); Billy Joe Walker (Acoustic Guitar); Larry Paxton (Electric Bass); John Barlow Jarvis (Piano); Mike Lawler (Keyboard Synthesizers); Terry McMillan (Harmonicas); Steve Turner (Drums)
天才マーク・オコナーの演奏。とんでもなく熱い演奏。メドレーになっている。やっぱすげえな!

Hot Club of Cowtown (Austin Texas, May 10, 11, 12, 2003)
Elana James (Violin) Jake Erwin (Bass); Whit Smith (Guitar, Vocal)
HCTの2003年のライブ実況盤。これもとんでもない演奏。激アツ!

Michael Cleveland And Flamekeeper (Nashville 2014)
Glenn Gibson (Banjo); Tyler Griffith (Bass); Michael Cleveland (Fiddle); Josh Richards (Guitar); Nathan Livers (Mandolin)
やっぱこの人本当にすごいな…。マイケル・クリーヴランド。


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