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脊髄損傷の麻痺の評価って?@脊髄障害

脊髄損傷の評価には様々ある。

Frankel分類、Zancolliの分類、ASIAなど理学療法士なら一度は耳にしたことがあると思う。

理学療法学校教育でも、理学療法国家試験に脊髄損傷について多く出題されるため、脊髄損傷の講義時間はしっかりと確保されている印象はある。

しかしながら実際に教科書での学習では脊髄損傷を理解するのはイメージが湧きにくく、脊髄損傷の評価は難しいことが多々あるため、実際に臨床に出て何を評価するべきかなど迷われることが少々あるかと・・・。

そこで、まずは、脊髄損傷の神経学的残存高位評価についてこの記事で簡単にまとめる。

最近は国際基準に合わせてASIA・ISCoSによる国際標準評価法が多く用いられる。

今回はAISAについて簡単にまとめてみる。

AISAは米国脊髄損傷学会が(American Spinal Injury Association)がFrankel分類を基に開発し、国際脊髄学会(International Spinal Cord Society)で脊髄損傷の神経学的分類としても承認された神経学的評価である。

麻痺の重症度判定としてAIS:AISA Impaiment Scaleで表現される。

A (complete) S4/5領域の運動・知覚機能の完全喪失。

B (incomplete)感覚不全。神経学的高位より下位に知覚機能が残存し、S4/5領域の知覚残存。運動機能は左右どちら側にも運動レベルより下位に3髄節を超えて残存しない。

C (incomplete)運動不全。神経学的高位より運動機能が残存し麻痺域のKey muscleの半数以上が筋力3未満である。

D (incomplete)運動不全。神経学的高位より運動機能が残存し麻痺域のKey muscleの半数以上が筋力3以上である。

E (normal)正常。初期評価時に脊髄障害を呈しており、AIS D以上であった者が麻痺重症度の改善により運動・知覚と正常になった際にEと断定。初期評価時にAIS Eと断定されて方は脊髄障害には該当しない。

と分けられる。

評価方法は厳密に決められており、評価をするのみではAISを判定することはできず、評価した内容をよく理解した上で麻痺の重症度を断定する知識が重要である。

特に完全脊髄損傷と不全脊髄損傷との識別は重要であり、AIS CとDの識別は歩行予後にも影響を及ぼし、理学療法介入にも差が生じるため、脊髄損傷者の麻痺重症度の把握はとても重要である。

評価方法・麻痺重症度の断定方法などは次回に記事にまとめる。