愛用の時計

愛用の時計

「あなたにとって腕時計とはどのような存在ですか」これ、どこかで誰かにたずねられた心理テストです。その真価のほどは不明ですが、その判定に納得した記憶があります。

私が初めて自分の腕時計を持ったのは、中学生になったときでした。伯父が記念にプレゼントしてくれたデジタル時計は、ストップウォッチ機能も付いていたので、いろんな時間を計るのを楽しんでいました。

そのあと、高校生から使い始めた黒いデジタル時計は、表示が少し斜めに傾いていて、自転車のハンドルを握った状態でも見やすく、また防水もバッチリ。タフな腕時計と共に、どたばたしていた学生時代を過ごしました。

社会人になって購入したのが、今も使い続けているアナログ時計です。しかもゼンマイ式なので、ほぼ毎朝ネジを巻かないと止まってしまいます。ちょっと武骨なクロノグラフなくせに、ちょっぴりせっかちさんです。一週間で一分弱ですが、進んでしまいます。

時計に耳を近づけてみると、カチカチと健気に時を刻んでいる音を確認することができます。今どきのクオーツ時計と違い、電池交換の心配はいりませんが、五年くらいごとに専門のお店にオーバーホールをお願いしなければなりません。細かな点検をし、新しく油を差してもらった時計は、それまで以上に元気になって帰ってきます。

昔ながらの時計で重いし、汗をかいたときには外して机に置くときもあるけれど、不思議なことに腕に付けていないと自分の体のバランスがおかしい気がするのです。ずいぶん傷だらけになりましたが、外に出る時、特に仕事をしているときは必ず私といっしょなのだから、きっとそう思うのです。

さて、最初に紹介した心理テストの解説を。腕時計は「あなたにとってのパートナー」なのだそうです。どんな想いで身に付けていますか。かけがえのない人のつもりで、どうぞ愛用の時計を大切にしてあげてください。
(やすだ)(初出は2010年10月16日)

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