SFアンバサダー

SFアンバサダー

最近の記事

#2.リアルな近未来を描いた「万物理論」(グレッグ・イーガン)

物理学を志したもの、またはSFに興味がある人なら一度は思い描くのが「万物理論」または「究極理論」です。 呼び方はそれぞれですが、要はすべての物理現象を説明する理論です。 そしてそれを題名にしたのがグレッグ・イーガンの「万物理論」です。 オリジナルのタイトルは「Distress(敢えて直訳すると「苦悩や災難」)」で、おそらく直訳だと分かりにくいので、出版社が改名したものと推測しています。 初出は1995年ですが、2023年時点から見ても色あせない重層的な未来ネタが詰まってい

    • #1.「月世界旅行」(ジュール・ヴェルヌ)

      21世紀になって月への注目が集まっており、2023年にはインドも4番目の国として月面着陸を実現しました。 ただ、今でもあくまで無人での着陸であり、有人に絞ると1972年のアポロ12号までさかのぼります。 そしてアポロの後継にあたる「アルテミス計画」で改めて有人月面着陸を目指しています。(ちなみに、アルテミスはギリシア神話に出てくる月の女神で、太陽神アポロンの双子です) そんな21世紀の現代をあざ笑うかのようなSF小説が、1865年に発刊された「月世界旅行」です。 今の宇

    #2.リアルな近未来を描いた「万物理論」(グレッグ・イーガン)