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ヨーロッパ文化教養講座(フランス映画「ベネデッタ」)

2023/11/16
17世紀イタリアの修道女ベネデッタの裁判記録(レズビアン容疑)を元にした、御年85才のポール・バーホーベン監督の最新作。
映像が重厚、物語の展開も予想しない方向へすすみ、面白い映画だった。

「氷の微笑」「ロボコップ」の鬼才ポール・バーホーベン監督が、17世紀にレズビアン主義で告発された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの数奇な人生と彼女に翻弄される人々を描いた伝記映画。

17世紀、ペシアの町。聖母マリアと対話し奇蹟を起こすとされる少女ベネデッタは、6歳で出家してテアティノ修道院に入る。純粋無垢なまま成人した彼女は、修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助け、秘密の関係を深めていく。そんな中、ベネデッタは聖痕を受けてイエスの花嫁になったとみなされ、新たな修道院長に就任。民衆から聖女と崇められ強大な権力を手にするが……。

「おとなの恋の測り方」のビルジニー・エフィラが主演を務め、「さざなみ」のシャーロット・ランプリング、「神々と男たち」のランベール・ウィルソンが共演。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2021年製作/131分/R18+/フランス
原題:Benedetta
配給:クロックワークス
劇場公開日:2023年2月17日

映画.com

コメントと感想:

1.映像は非常にエロチック。それだけでも、心を乱される。
また、ベネデッタ役のビルジニー・エフィラが、イエス・キリストが乗り移ったときの、演技(と声 吹き替え?)が素晴らしい。

2.苛め、拷問、聖痕の血のしたたりなど、場面場面が痛みを強調してそれも刺激的。

3.それに加えて、主人公ベネデッタが、イエス・キリストとの接触によって、聖痕を得たのが事実なのかどうか、というサスペンスの要素もある。

4.また、当時の教会の支配層が、現在の悪徳政治家となんら変わりがないという点を容赦なく描き出し、ほとんど悪意を感じるほど。
一方では、一般大衆や支配層でない修道女の信仰は、純粋で真っ直ぐに描かれている。

クリスチャンとしては、人間は上に立てば立つほど、おごり高ぶり、天国から遠くなるのだということを思い知らされる映画だった。

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