ヨーロッパ文化教養講座(イギリス映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」鑑賞記)
2023/10/30
コメントと感想:
1.キュリー夫人といえば、ノーベル賞を2回も取った、女性の科学者という程度の知識しかなったので、キュリー夫人の伝記ドラマということで興味を持った。
2.映画の出だしは死期の近いキュリー夫人が、最初に夫、ピエール・キュリーと出会ったシーンの回想から始まるという、よく見るパターンで始まった。
ポーランド出身で、しかも女性の科学者が男社会で奮闘し、やがては、ノーベル賞を受賞するサクセスストーリーかと思っていたが、予想とは全く違った展開。
3.制作側が描きたかったのは、キュリー夫人個人の人生の中で、自分が発見した放射線(映画の原題のRadioactive 夫人が命名者とのこと)が、人類にとっては、がん治療という正の面だけでなく、原子爆弾、原発事故、放射能汚染などの重大な負の面を持っていることへの葛藤ではないだろうか。
そういった意味では、キュリー夫人の伝記を使いながら、核拡散防止を訴えている社会派映画の一面も見え隠れする。
4.キュリー夫人も、天才にありがちというか、傲慢で自己顕示欲が強い面も描かれている。
その反面、馬車の事故で亡くなった夫に対する愛情や、娘2人との円満な関係は、救いになっている。
5.個人的にはキュリー夫人の科学的な業績などのようにして獲得されたかをもっと観たかったが、実際は、すごく地味で根気の要る実験の連続から、天から光りがさしたように閃いて、発見するものだろうなと思った。
6.そのため、感情を映像で表現しようとしたのか、少し芸術的過ぎる映画に感じた。
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